もう会えない君。
目を開けると真っ黒な服に身を包んだ人達が私の視界を埋め尽くす。
耳を澄ませば誰かが泣く声や啜り泣く音が私の視聴に響き渡る。
“現実”だと思いたくない光景が私の目の前に広がる…。
夢なら覚めて欲しい。
悪夢なんて見たくないよ。
夢なら覚めて欲しい。
受け入れたくないよ…こんな“現実”――。
どうして私の心は大雨なのに世界は快晴に包まれているのだろう?
点滅する世界。
取り戻せなかった隼との世界。
やめてよ…見たくないよ…。
やめてよ…聞きたくないよ…。
目の前に広がる光景は私自身の心を、体をボロボロにしてゆくばかりに思えてしまうのはこれが“悪夢”だから?
それとも――――…。
棺に付いてある小さな窓が悠の両親の手によって、ゆっくり、そして静かに開かれる。
長い行列を作る火葬場。
入口まで人で溢れ出てしまう程の人の数。
学校の同級生や後輩、それから教員達…。
見たくなかった。
聞きたくなかった。
誰かが泣き喚く声なんて耳を塞ぎたくなる。
誰かが崩れ泣きしてる所なんて目を瞑りたくなる。
受け入れたくないんだもん。