もう会えない君。
「鈴木…凛さん?」
ふと呼ばれた声に振り返ると隼のお母さんが入口前に立っていた。
私は涙を拭って、こくんと頷いた。
すると隼のお母さんは私の元に駆け寄り、腰を下ろした。
そして…
隼がしてくれたように私の手を優しく包み込んでくれた。
「あのね、凛さん」
隼のお母さんは涙ながらに口を開いた。
「隼と…出会ってくれてありがとう」
「…えっ」
「感謝してるのよ?貴方と出会って隼は変わったもの」
「………」
「皐くんと一緒に同居してるみたいでなかなか家に帰って来なかったのよ」
「………」
「だけどね?丁度、夏の終わり頃だったかしら」
「………」
「大切な人が出来た、って家に帰って来た事があったの」
「………」
「高校に上がって初めて家に来てくれたのよ」
「………」
「貴方の話をいっぱい楽しそうにしてたわ」
「…隼は、」
「うん?」
「私と出会えて幸せだと言っていましたか…?」
「ええ、言ってたわよ。凄く幸せだって。そして、いつか幸せにするんだって」
「………ッ」
「約束は守れなかったかもしれない。だけどね?」
「………?」
「隼は凛さんの心の中に今もまだ生きてるのよ」