もう会えない君。


「凛って勉強嫌いなの?」
教室に戻り、席に着いた途端に悠が不思議そうに問い掛けてきた。


勉強…
別に嫌いじゃない。
ただ今日はやる気が出ないだけ。


「嫌いじゃないけど?」
当たり前のように答えると悠は「ふーん」とだけ言うと考えるような体制をとった。


そして少しだけ黙り込んで、口を開いた。


「でも、外ばっか見てんじゃん?」

「…まあ」

「だから勉強嫌いなのかなって」

「空が好きなだけ」

「そんなに空が好きなのか!なるほど!」
悠は何かを納得したように数回頷いて机と睨めっこをしていた。


そんな悠を見てると心が軽くなった。


寂しいという感情が少しずつだけど減っていく。
放課後になる時間は刻々と迫ってきているのに。
それでもなぜか心が沈む事はなかった。


教科担当の先生が来て授業を始めた。


だけど、やっぱり私は授業に集中しきれず、外に視線を向けていた。
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