もう会えない君。
今日一日の授業が終わり、一息吐いた。
「凛って溜息吐くの多くね?」
隣では眠そうな目を擦りながら呑気に言葉を発する悠の姿があった。
「そうかな?」
正直、自分でも気付いてる。
溜息を吐く事が多くなってるって事。
「なんか悩みでもあんの?」
本当に心配してくれているのか、悠の瞳は寂しそうに見えた。
「…別に?」
私は悠に嘘を吐いた。
悩みがないと言えば嘘になる。
――本当は悩んでいる事だらけだ。
悠って…やっぱり不思議な人。
私とはこうして話すのに私以外の女の子とは一切、口を利かない。
私がどんなに冷たい言い方をしても笑ってるし。
特定の彼女は作らないって宣言してるのに寄ってくる女の子は昨日より増えていた。
それなのに悠は女の子達の会話に耳を傾けない。
隼のように会話をするわけでもなく、音楽を聴いて耳を塞いでいる。
悠って……本当に不思議な人だな。