もう会えない君。


「悠くん…ちょっといい?」
恥ずかしそうに悠の机の前で止まり、モジモジしながら躊躇いがちに悠に問い掛ける女の子。


とても可愛らしく髪を巻いていて、濃すぎない化粧がより一層、彼女の魅力を引き立たせていた。


悠は私に向けてくれる視線…ではなく、少し冷たい視線を送っていた。


そして何も言わないまま、立ち上がると私に視線を向けた。


「ちょっと行ってくる」
そう告げられた私は静かに頷く事しか出来なかった。


女の子の後ろを気怠そうに歩く悠。


あの子、もしかして悠に告白するのかな?
でも…あんなに可愛い子から告白されたら、きっと悠も断らないよね。


私よりも何十倍も可愛くて、男の子なら守ってあげたくなるんじゃないかってくらい可愛い女の子だった。


私は荷物を鞄に詰め込み始めた。


丁度、荷物を詰め込み終えたと同時に悠が戻って来た。


女の子の姿はない。


「おかえり」
私が笑顔を向けると悠も笑顔を向けてくれた。
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