空と海が交わるとき













俺の視線の先にいる




莉子の後ろに隠れた、見覚えのある少年





「あ…えと…。」



動揺してるのか、ソイツは言葉を詰まらせた。




「俺…あんたに伝えたい事があって…。」




ソイツの強い瞳が、漸く交わる。




「海の民の間で、もうすぐ海の姫が帰って来るって噂になってる。これを機に、皆が何かしかけるかもそれない。だから、空の民も…。」




そうか




こいつは、俺達の為に…



「その事を伝える為に、危険を犯して来てくれたんだな…。」




どれだけ




どれだけ勇気のいる行為なんだろう?




「ありがとな。」



俺が笑うと、ソイツも少し笑った。



 
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