幕末女剣士~新選組~
翌朝、予定どうりに山南さんの
処分が行われた。
介錯人は沖田さん。
山南さんの表情は穏やかで
まさに仏の副長そのものだった。
降り積もった雪の白に山南さんの
朱がよく栄えて、まるで
季節外れの桜のようだったーーー…
「美穂…」
呼ばれるまで気配に気がつかなかった。
「あぁ、土方さん…」
力無く笑った美穂の隣に土方は座る。
「これ、山南さんがお前に…」
渡されたのは一枚の手紙。
それを受け取ると静かに机に置く。
とてもじゃないけど今は
そんな気分じゃなかった。
「美穂、お前…知ってたのか…?」
土方さんの問いかけに小さく頷く。
「そうか……」
それだけ言うと土方さんはまた
黙り込んでしまった。
「お前のせいじゃねぇよ」
「えっ…」
「自分を追い詰めてる面してんな。
……深く考えんな、これが山南さん
の運命だったんだ」
山南さんの……運命…?
土方さんの声は棘が少しあるけど
それでも優しさに満ちていた。
土方さんが出ていくと
手紙が目に止まった。
手に取ってゆっくりと開いてみる。
「拝啓、北条美穂様…」
アタシは黙って手紙に目を通した。