はぐれ雲。
そんな時、直人がメンバーに加わった。
やせっぽちで、がり勉っぽくて、浩介と正反対の雰囲気の持ち主だ。

亮二に言われ、しぶしぶ面倒をみていたがぶつかることも多く、よくケンカをした。

しかし、そんな中でお互いが腹を割って話せる間柄へとなっていく。

二人にとって初めての「親友」だった。

それから2年が経ち、
亮二が圭条会に引き抜かれるといった噂がメンバーの中で流れる。

直人と浩介はいてもたってもおれず、亮二の元へ走った。

「本当なんすか、圭条会に行くって…」

「俺たちも連れて行ってください。お願いします」

ダメもとで彼らは頭を下げた。

亮二は、バイクにまたがって夜空を見上げている。

周りでは他のメンバーが騒いでいるにもかかわらず、彼の周りだけはしん、と別世界のようだった。

「直人、浩介」
空を仰いだまま、静かに彼は言った。

「いいのか、それで」

直人と浩介は顔を見合わせ、笑った。

亮二から思ってもない言葉が聞けたからだ。

「はいっ」

「どこまでもついて行きます」

「だけどよ、もう暗くて濁った、星も見えないような空の下で生きていくハメになるんだぜ。それでもいいのかよ」

「かまいません」

「俺もっすよ」
二人に迷いはなかった。

この人に付いていく、ずっと前からそう決めていたのだから。

「そうか…」

そう言うと、亮二は手の中にあるものを見つめた。

直人と浩介からは何かわからなかったが、亮二はそれを握りしめると、ポケットにそっとしまった。


亮二は黒い布で、鼻と口元を覆う。

そして

「今夜は最後の走りだ、ぶっ飛ばす!」

そう言って、エンジンをけたたましくふかせた。

他のメンバーも出発の合図といわんばかりに、バイクにまたがる。

直人と浩介もいそいでバイクにまたがった。

こうして3人は、星も見えない暗い夜の世界への一歩を踏み出すことになる。


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