はぐれ雲。
しばらくして亮二が組で高級クラブの経営を任されることになった。
それがAGEHAだ。
彼はそのAGEHAのママに、リサを抜擢した。
「いいの?あたしなんかをママにして」
戸惑う彼女に、亮二はきっぱりと言い切った。
「おまえしかいないと思ってる」
その言葉が忘れられない。
リサは亮二に認めてもらえた事への嬉しさでいっぱいだった。
<亮二の思いに応えたい…>
リサは背中にニ羽のアゲハ蝶を彫った。
これまでの苦労を思えば、その痛みもたいしたことはなかった。
「あたしは、このアゲハ蝶に全てを捧げる…亮二のために」
リサがそっと彼の右手の甲のアザを撫でると、亮二がその肩を抱き寄せた。
彼は労わるように、長い間彼女の肩を撫でていた。
そしてその夜、初めて二人は身体を重ね合わせた。
結ばれた瞬間、欲しくて欲しくて仕方なかったものをようやく手に入れた、リサはそう思った。