はぐれ雲。
「あれを踏まれたことで、亮二さんはあそこまでキレたんだと思う」
直人はビールを口に運ぶ。
「あん時の亮二さん、見たこともねぇくらいぶちギレてたよな」
「俺の推測だけど、あのお守り?みたいなやつ、あれをあげたのが加瀬博子じゃないか」
浩介が吹き出した。
「おまえ、ちゃちい探偵かよ!ガキの頃の恋愛だろ?そんなので、あの亮二さんがパクられるわけないだろ」
「そうかな」
直人は納得できない。
「亮二さんの女はリサだ。それは間違いない。でもそれまでに特定の女がいたか?」
浩介は天井を見上げ、考える。
「いたんじゃねぇの?結構派手にいろんな女と寝てたじゃん、亮二さん」
「確かにそうだけど、特定の女がいたって聞いたことない」
浩介は首をかしげた。
「つまり直人はさ、亮二さんが加瀬って女にマジで惚れてるって言いたいのかよ」
「まぁ、そういうことだけど」
「けっ!まわりくどい言い方してんじゃねぇよ。俺は頭悪いからストレートに言ってもらわないと、わかんねぇの!」
浩介はビールを飲み干すと、再びキッチンに行き冷蔵庫を開けた。
「おい、浩介。ビール代くらい置いてけよな」
「ケチんなよ~友達だろ」
「友達と思ってるなら置いてけよ、金」
「なんてやつだ」
こうして亮二の本心を色々想像しながら、夜は更けていく。