はぐれ雲。
その頃、リサは酔いつぶれていた。
「リサさん、お店は大丈夫なんですか?」
カウンターにうつぶせていた女が顔を上げる。
うつろな目で化粧っ気もなく、髪も乱れ放題だ。
「いいの、いいの。若い子に任せてきたからぁ」
両手をヒラヒラさせて、薄ら笑いを浮かべた。
勝気で、明るいリサはどこにもいなかった。
行きつけのブルーローズには行く気が全くしなかった。
直人たちに博子を連れ込む姿を見られたのは、レンのせいだと思っていたからだ。
あいつさえもっと慎重に事を運んでいたなら、亮二に知られることなくあの女を脅すことくらい簡単にできたはずだったのに。
その上、AGEHAでの一件で、亮二に別れを切り出されるハメになった。
許せなかった。
自分を捨てた亮二も、あの女も。
壊してやる。
むちゃくちゃにしてやる。
でも、まだ亮二を忘れられない。
愛すれば愛するほど、憎い。
憎めば憎むほど、愛しい。
そんなどうしようもない想いを忘れようと、リサはひたすら酒をあおった。