はぐれ雲。
一方レンは、いつも通りブルーローズの雇われ店長として淡々と仕事をこなしていた。
リサのことが心配だった。
あれ以来、ここにも姿を見せないし連絡も取れない。
あんなに大切にしていたAGEHAにも顔を出していないようだ。
自宅にも訪ねてみたが、いつも留守。
今彼女はどこにいるのか、レンには全くわからなかった。
「ちょっと君」
カウンターの隅に一人で座っていた中年の男がレンを呼んだ。
「何かカクテルを作ってくれないか」
「どういったものがよろしいでしょうか」
「あんまり詳しくないから、君にまかせるよ。甘すぎるのはちょっと…避けてもらえるかな」
レンは少し考えると「かしこまりました」とビーフィータージンを取り出し、素早く分量を量り取ると、シェーカーを振った。
横目でその客を見る。
薄暗くて顔まではよく見えないが、左の首に大きな傷があるものの、服はなかなかいいものを着ている。
「お待たせいたしました」
月形に切ったレモンピールをそっと浮かべて、その男の前に差し出した。
「ブルームーンといいます」
「ほう、きれいな色だね」
「廃れずに昔からあるカクテルです。お口に合えばよろしいのですが」
「ありがとう、いただくよ」
男は一口飲むと困ったような顔をした。
「カクテルというものを初めて飲んだが、私のような中年にはやっぱり合わないな。
若い女性向きだな、こういうのは」
レンはムッした。
<だったら頼むなよ、変なおっさんが!>
そんな言葉を飲み込んで、レンは笑顔を彼に返す。
「実はね、今日私は君に会いに来たんだよ」
突然の発せられた言葉に、レンはもう一度その男を見た。
「私は湊川リサの叔父でね」
「え?」
「君に大変お世話になっていると聞いて」
「リサさんがそう言ったんですか?」
確かリサは、もう何年も両親や親戚と顔を合わせていないと言っていた。
自分は親戚中の恥だから、と。
リサの叔父で前田と名乗った男はもう一口カクテルを飲むと頷いた。
「うん、慣れてきたのかな、うまい」
話をそらされたようで、レンは苛立ちながらも訊ねる。
「あの、リサさんは今…」
リサのことが心配だった。
あれ以来、ここにも姿を見せないし連絡も取れない。
あんなに大切にしていたAGEHAにも顔を出していないようだ。
自宅にも訪ねてみたが、いつも留守。
今彼女はどこにいるのか、レンには全くわからなかった。
「ちょっと君」
カウンターの隅に一人で座っていた中年の男がレンを呼んだ。
「何かカクテルを作ってくれないか」
「どういったものがよろしいでしょうか」
「あんまり詳しくないから、君にまかせるよ。甘すぎるのはちょっと…避けてもらえるかな」
レンは少し考えると「かしこまりました」とビーフィータージンを取り出し、素早く分量を量り取ると、シェーカーを振った。
横目でその客を見る。
薄暗くて顔まではよく見えないが、左の首に大きな傷があるものの、服はなかなかいいものを着ている。
「お待たせいたしました」
月形に切ったレモンピールをそっと浮かべて、その男の前に差し出した。
「ブルームーンといいます」
「ほう、きれいな色だね」
「廃れずに昔からあるカクテルです。お口に合えばよろしいのですが」
「ありがとう、いただくよ」
男は一口飲むと困ったような顔をした。
「カクテルというものを初めて飲んだが、私のような中年にはやっぱり合わないな。
若い女性向きだな、こういうのは」
レンはムッした。
<だったら頼むなよ、変なおっさんが!>
そんな言葉を飲み込んで、レンは笑顔を彼に返す。
「実はね、今日私は君に会いに来たんだよ」
突然の発せられた言葉に、レンはもう一度その男を見た。
「私は湊川リサの叔父でね」
「え?」
「君に大変お世話になっていると聞いて」
「リサさんがそう言ったんですか?」
確かリサは、もう何年も両親や親戚と顔を合わせていないと言っていた。
自分は親戚中の恥だから、と。
リサの叔父で前田と名乗った男はもう一口カクテルを飲むと頷いた。
「うん、慣れてきたのかな、うまい」
話をそらされたようで、レンは苛立ちながらも訊ねる。
「あの、リサさんは今…」