はぐれ雲。
「そう、だったね」博子は視線を足元に落とす。
「浩介はどうしようもないお調子者で、世話がやけてな。それに素直すぎて、この世界でやってけるのかって心配なくらいだ。まあ俺が誘ったんだから、最後まで面倒みてやんねぇとな。でも、あいつがヘラヘラ笑ってるのを見ると、まだ俺も完全にワルになったわけじゃねぇって、ホッとする時がある」
彼の声が、とても穏やかに聞こえた。
「その点、直人は正反対だ。慎重派で、頭が良くて、何でもそつなくこなす。俺がここまでやってこれたのも、あいつがいたからだと思う」
彼の顔が、とても穏やかに見えた。
「あいつら正反対の性格してんのに、昔っからずっと一緒につるんでてよ。気持ち悪いのなんのって」
そう言うと鼻で笑う。
照れ隠しなんだと、博子は思った。
風が心地いい。つい目を細めてしまう。
「…リサのことも、許してくれ」
ふいに彼の声が低くなった。
笑顔が消え、まるで自分のことを詫びるように亮二は真剣な顔をしている。
博子は優しく答える。
「大丈夫よ。私、全然気にしてないから」
彼女は、亮二のことが好きで好きで仕方なかったのだ。博子にはそれが痛いくらいにわかる。
責めるつもりもない。
謝らなければいけないのは、むしろ自分の方だと思っているくらいだ。
「そういえば、忘れてたな。昔、鈍くさい妹みたいな奴がいたな」
亮二がいつものように空を見ながら言った。
「誰のことよ」
「ガキの頃から、俺の後ばっかり、ついてまわってよ。よくしゃべる奴でな」
「そういえば、私にもお兄ちゃんみたいな人がいてね。口が悪くて、ぶっきらぼうで、ちっとも素直じゃないのよ」
そう言い返す。
「でもね、本当はすごく優しいって知ってるから、許しちゃうんだけどね」
「誰だよ、そんな罪な野郎は」
「何言ってるのよ」
<夢にも思わなかった。またあなたとここで、あの時のように冗談を言い合えるなんて…>
そんな亮二の笑顔が大好きだった。
忘れられなかった。
あの頃からずっと…
今も、そしておそらく
これからもずっと…
「浩介はどうしようもないお調子者で、世話がやけてな。それに素直すぎて、この世界でやってけるのかって心配なくらいだ。まあ俺が誘ったんだから、最後まで面倒みてやんねぇとな。でも、あいつがヘラヘラ笑ってるのを見ると、まだ俺も完全にワルになったわけじゃねぇって、ホッとする時がある」
彼の声が、とても穏やかに聞こえた。
「その点、直人は正反対だ。慎重派で、頭が良くて、何でもそつなくこなす。俺がここまでやってこれたのも、あいつがいたからだと思う」
彼の顔が、とても穏やかに見えた。
「あいつら正反対の性格してんのに、昔っからずっと一緒につるんでてよ。気持ち悪いのなんのって」
そう言うと鼻で笑う。
照れ隠しなんだと、博子は思った。
風が心地いい。つい目を細めてしまう。
「…リサのことも、許してくれ」
ふいに彼の声が低くなった。
笑顔が消え、まるで自分のことを詫びるように亮二は真剣な顔をしている。
博子は優しく答える。
「大丈夫よ。私、全然気にしてないから」
彼女は、亮二のことが好きで好きで仕方なかったのだ。博子にはそれが痛いくらいにわかる。
責めるつもりもない。
謝らなければいけないのは、むしろ自分の方だと思っているくらいだ。
「そういえば、忘れてたな。昔、鈍くさい妹みたいな奴がいたな」
亮二がいつものように空を見ながら言った。
「誰のことよ」
「ガキの頃から、俺の後ばっかり、ついてまわってよ。よくしゃべる奴でな」
「そういえば、私にもお兄ちゃんみたいな人がいてね。口が悪くて、ぶっきらぼうで、ちっとも素直じゃないのよ」
そう言い返す。
「でもね、本当はすごく優しいって知ってるから、許しちゃうんだけどね」
「誰だよ、そんな罪な野郎は」
「何言ってるのよ」
<夢にも思わなかった。またあなたとここで、あの時のように冗談を言い合えるなんて…>
そんな亮二の笑顔が大好きだった。
忘れられなかった。
あの頃からずっと…
今も、そしておそらく
これからもずっと…