はぐれ雲。

そんな横顔を見ながら、

「顔に似合わず、今でもミルクコーヒー好きなの?」と博子。

「悪いかよ」


亮二は下校途中の自販機で、それをよく買って飲んでいた。
それに便乗して、よくジュースを奢ってもらっていたなぁ、と博子も思い出す。


だから、今日はあちこち探して買ってきたのだ。

きっと彼はミルクコーヒーを選ぶ、そう思っていた。

案の定の結果に、博子は一人満足する。

「まだ、あったんだな。もうなくなっちまったと思ってたけど」

亮二はその缶をまじまじと見つめる。

昔と変わらないデザイン。

そして、コーヒーにしては甘めのあの味。

味覚がきっと彼を「あの頃」に引き戻しているのだろう、一口飲んでは余韻に浸るように、じっと缶を見つめる。

「しばらく、飲んでなかったの?」

「…ああ、おふくろの実家に行ってからは飲んでねぇな。あの頃も今も、飲みたい、なんて思わなかったからな。忘れてたぐらいだ、これをよく飲んでたなんてこと」

「嘘、ほとんど毎日飲んでた気がするけど」

「そうだったか?」

「なんでミルクコーヒーなの?カフェオレじゃだめなの?」

「何が言いたいんだよ、おまえ」

博子を見ながら、亮二はニヤッと笑う。

彼女の言いたいことを察しているようだ。

それに応えるように、博子は

「別に。私は、『ブラック』だけど」と、胸を張る。

「気取ってんじゃねえよ、馬鹿が」

勝ち誇ったような博子の顔に、亮二は呆れ顔で言った。



< 223 / 432 >

この作品をシェア

pagetop