はぐれ雲。
そんな横顔を見ながら、
「顔に似合わず、今でもミルクコーヒー好きなの?」と博子。
「悪いかよ」
亮二は下校途中の自販機で、それをよく買って飲んでいた。
それに便乗して、よくジュースを奢ってもらっていたなぁ、と博子も思い出す。
だから、今日はあちこち探して買ってきたのだ。
きっと彼はミルクコーヒーを選ぶ、そう思っていた。
案の定の結果に、博子は一人満足する。
「まだ、あったんだな。もうなくなっちまったと思ってたけど」
亮二はその缶をまじまじと見つめる。
昔と変わらないデザイン。
そして、コーヒーにしては甘めのあの味。
味覚がきっと彼を「あの頃」に引き戻しているのだろう、一口飲んでは余韻に浸るように、じっと缶を見つめる。
「しばらく、飲んでなかったの?」
「…ああ、おふくろの実家に行ってからは飲んでねぇな。あの頃も今も、飲みたい、なんて思わなかったからな。忘れてたぐらいだ、これをよく飲んでたなんてこと」
「嘘、ほとんど毎日飲んでた気がするけど」
「そうだったか?」
「なんでミルクコーヒーなの?カフェオレじゃだめなの?」
「何が言いたいんだよ、おまえ」
博子を見ながら、亮二はニヤッと笑う。
彼女の言いたいことを察しているようだ。
それに応えるように、博子は
「別に。私は、『ブラック』だけど」と、胸を張る。
「気取ってんじゃねえよ、馬鹿が」
勝ち誇ったような博子の顔に、亮二は呆れ顔で言った。