はぐれ雲。
レンは今か今かと前田がブルーローズにやってくるのを待っていた。
ここにあの男が来たら、手間賃と称してもっと金を払わせてやる、そう企んでいた。
あと一歩のところでリサを亮二に奪われた日から数日経ったある夜。
「やぁ、またお邪魔するよ」と待ちに待った前田が店に姿を現した。
レンは握りこぶしを作ってはみたものの、他の客の手前どうにか堪える。
前田はカウンター席でレンと向かい合うと、いきなり分厚い封筒を差し出した。
「迷惑をかけてすまなかったね。私が君にリサのことをお願いしたすぐ後に、あの男と寄りを戻したみたいでね。君をたきつけておきながら、こんなことになってしまって…。これはほんのお詫びだから…」
目の前の金の束に、レンはすっかり怒りを忘れた。
「いや、いいんです。そんなこと…」
封筒に釘付けだった。
前田はそんな彼を見ると、もう一度封筒を押しやった。
「とっておいてくれ」
「は、はい」
人目も気にせず、レンはその封筒を受け取る。
「ところで、また君に聞きたいことがあるんだ」
「え、え…何でしょう?」
「私はね、リサと寄りを戻したという男がどうも気になってね。君は彼が何者か、仕事は何をしているか、知ってるかい?」
「ええ、まぁ」
レンは亮二のことを知っている限り丁寧に説明した。
前田はその話を聞き終えると目頭を押さえ、声を詰まらせながら言った。
「その新明亮二という男は、暴力団の幹部なのか。あの圭条会の?」
「はい」
「早い話、リサを使って働かせて金を貢がせていると、そういうことなんだね。なんてことだ。よりによってそんな男と」
男の手が震えていた。
「頼む、力を貸してくれないか。無理を言っているのは重々承知だ。報酬と言っては何なんだが、それなりに金は払う」
「はぁ…」
「リサを助けてくれないか。その男から取り戻してくれないか」
ここにあの男が来たら、手間賃と称してもっと金を払わせてやる、そう企んでいた。
あと一歩のところでリサを亮二に奪われた日から数日経ったある夜。
「やぁ、またお邪魔するよ」と待ちに待った前田が店に姿を現した。
レンは握りこぶしを作ってはみたものの、他の客の手前どうにか堪える。
前田はカウンター席でレンと向かい合うと、いきなり分厚い封筒を差し出した。
「迷惑をかけてすまなかったね。私が君にリサのことをお願いしたすぐ後に、あの男と寄りを戻したみたいでね。君をたきつけておきながら、こんなことになってしまって…。これはほんのお詫びだから…」
目の前の金の束に、レンはすっかり怒りを忘れた。
「いや、いいんです。そんなこと…」
封筒に釘付けだった。
前田はそんな彼を見ると、もう一度封筒を押しやった。
「とっておいてくれ」
「は、はい」
人目も気にせず、レンはその封筒を受け取る。
「ところで、また君に聞きたいことがあるんだ」
「え、え…何でしょう?」
「私はね、リサと寄りを戻したという男がどうも気になってね。君は彼が何者か、仕事は何をしているか、知ってるかい?」
「ええ、まぁ」
レンは亮二のことを知っている限り丁寧に説明した。
前田はその話を聞き終えると目頭を押さえ、声を詰まらせながら言った。
「その新明亮二という男は、暴力団の幹部なのか。あの圭条会の?」
「はい」
「早い話、リサを使って働かせて金を貢がせていると、そういうことなんだね。なんてことだ。よりによってそんな男と」
男の手が震えていた。
「頼む、力を貸してくれないか。無理を言っているのは重々承知だ。報酬と言っては何なんだが、それなりに金は払う」
「はぁ…」
「リサを助けてくれないか。その男から取り戻してくれないか」