はぐれ雲。
二人の人を同時に愛してしまうなんて、そんなこと許されるはずもない。
わかっているのに、心は二つに引き裂かれて。
はじめから別々の生き物であるかのように
亮二を、
そして
達也を
それぞれ想っている。
このままじゃいけない。
でもどうしていいのかわからない。
「誰か助けて」
もうコントロールできないほどに、彼女の二つの心はひとりでに動いていた。
一ヶ月ぶりに、携帯の画面に「公衆電話」からの着信履歴が表示された。
息を切らして約束の場所へ向かう。
いつものベンチにはすでに人影があった。
「今日は早いのね」そう言って彼の横に腰かける。
「新明くん?」
久々に会う亮二は、何も言わずにうつむいていた。
「どうかしたの?」
そう聞こうとしてやめた。
いつもの彼とは様子が違うことは明らかだった。
博子の前では決して煙草を吸うことのなかった彼が、今は煙草をくわえている。
彼が話し出すのを待つことにした。
サワサワと枯草がこすれあって、くすぐったい音を出す。
よくないことがあったのだと、なんとなくわかった。
空にはオレンジ、いや金色に輝く雲がゆっくり流れている。
吹く風は冬の訪れを告げるかのように、もう冷たかった。
こんな寒空の下、子どもも河原では遊ばない。
博子はマフラーに冷たくなった頬を寄せた。
新たに煙草に火をつけると「おふくろが死んだんだとよ」と彼は言った。
「え…お母さ…ん?」
驚いて聞き返す。
彼は煙たそうに煙草を吸った。
「15年ぶりに兄貴に会ってな。俺を探すのに半年もかかったらしい。マジで怒ってたぜ。それから泣きやがった。こんな俺を情けないって思ったんだろうな。まぁ、仕方ねぇよな、家飛び出したっきりだったからな」
亮二は自分を嘲るように笑う。
わかっているのに、心は二つに引き裂かれて。
はじめから別々の生き物であるかのように
亮二を、
そして
達也を
それぞれ想っている。
このままじゃいけない。
でもどうしていいのかわからない。
「誰か助けて」
もうコントロールできないほどに、彼女の二つの心はひとりでに動いていた。
一ヶ月ぶりに、携帯の画面に「公衆電話」からの着信履歴が表示された。
息を切らして約束の場所へ向かう。
いつものベンチにはすでに人影があった。
「今日は早いのね」そう言って彼の横に腰かける。
「新明くん?」
久々に会う亮二は、何も言わずにうつむいていた。
「どうかしたの?」
そう聞こうとしてやめた。
いつもの彼とは様子が違うことは明らかだった。
博子の前では決して煙草を吸うことのなかった彼が、今は煙草をくわえている。
彼が話し出すのを待つことにした。
サワサワと枯草がこすれあって、くすぐったい音を出す。
よくないことがあったのだと、なんとなくわかった。
空にはオレンジ、いや金色に輝く雲がゆっくり流れている。
吹く風は冬の訪れを告げるかのように、もう冷たかった。
こんな寒空の下、子どもも河原では遊ばない。
博子はマフラーに冷たくなった頬を寄せた。
新たに煙草に火をつけると「おふくろが死んだんだとよ」と彼は言った。
「え…お母さ…ん?」
驚いて聞き返す。
彼は煙たそうに煙草を吸った。
「15年ぶりに兄貴に会ってな。俺を探すのに半年もかかったらしい。マジで怒ってたぜ。それから泣きやがった。こんな俺を情けないって思ったんだろうな。まぁ、仕方ねぇよな、家飛び出したっきりだったからな」
亮二は自分を嘲るように笑う。