はぐれ雲。
リサの密かな商売は、莫大な利益をあげていた。
それが彼女を大胆にさせ、警戒心を薄れさせるのだ。
<意外と簡単なものね>
このお金を軍資金に、亮二にもっと出世につながるような大きな「仕事」をしてほしい。
その一心だった。
リサの携帯が夕方になると、ひっきりなしに鳴る。
「まぁ、いつもありがとうございます。
今夜?はい、伺わせます。
いつものところでお待ちいただけますか?
ええ、ではよろしくお願いいたします」
行きつけの美容室で髪を結ってもらいながら、電話を切った。
今日は特に上等の着物を選んだ。
特に理由はないが、今夜はなぜか特別な夜になりそうな気がしたから。
美容室を出ると、AGEHAに向かう。
店の裏口で鍵を取り出そうとバッグをまさぐっていると、周りを一瞬にして囲まれた。
声を出す暇もなかった。
その中の一人が淡々とした口調で言う。
「湊川リサさんですね。警察です。売春斡旋容疑であなたに逮捕状が出ています」
殺風景な取調室。
リサは売春の件に関してては黙秘を続けていた。
雑談には応じるものの、肝心なことになると貝のように口を閉ざした。
しかし、AGEHAの名義が新明亮二であること、彼が何らかの形で売春斡旋に関わっているのではないかという話に及ぶと、きっぱりと言い切った。
「亮二は関係ない。私が勝手にやったことよ。お金作って独立したかったの。いつまでも組にお金を払うなんてまっぴらだったから。彼は何も知らないわよ、当然でしょ」
何度聞いても同じ答えだった。
新明亮二は、無関係だ、と。
実際に、彼はこのことを知らない。
でも亮二にあらぬ疑いがかかることだけは避けたかった。
今でも彼を愛しているから。
長時間の取調べの合間、リサは若い女性刑事に手招きをした。
「ねぇ、ここの捜査一課ってところに、加瀬って刑事いない?」
「だったら何?」
少し強張ったその女性刑事の顔をみて、リサは不敵な笑みを浮かべた。
<ポーカーフェイスもできないくらいじゃ、刑事失格よ、あんた>
そしてその耳元でささやいた。
「いいこと、教えてあげる」と。
それが彼女を大胆にさせ、警戒心を薄れさせるのだ。
<意外と簡単なものね>
このお金を軍資金に、亮二にもっと出世につながるような大きな「仕事」をしてほしい。
その一心だった。
リサの携帯が夕方になると、ひっきりなしに鳴る。
「まぁ、いつもありがとうございます。
今夜?はい、伺わせます。
いつものところでお待ちいただけますか?
ええ、ではよろしくお願いいたします」
行きつけの美容室で髪を結ってもらいながら、電話を切った。
今日は特に上等の着物を選んだ。
特に理由はないが、今夜はなぜか特別な夜になりそうな気がしたから。
美容室を出ると、AGEHAに向かう。
店の裏口で鍵を取り出そうとバッグをまさぐっていると、周りを一瞬にして囲まれた。
声を出す暇もなかった。
その中の一人が淡々とした口調で言う。
「湊川リサさんですね。警察です。売春斡旋容疑であなたに逮捕状が出ています」
殺風景な取調室。
リサは売春の件に関してては黙秘を続けていた。
雑談には応じるものの、肝心なことになると貝のように口を閉ざした。
しかし、AGEHAの名義が新明亮二であること、彼が何らかの形で売春斡旋に関わっているのではないかという話に及ぶと、きっぱりと言い切った。
「亮二は関係ない。私が勝手にやったことよ。お金作って独立したかったの。いつまでも組にお金を払うなんてまっぴらだったから。彼は何も知らないわよ、当然でしょ」
何度聞いても同じ答えだった。
新明亮二は、無関係だ、と。
実際に、彼はこのことを知らない。
でも亮二にあらぬ疑いがかかることだけは避けたかった。
今でも彼を愛しているから。
長時間の取調べの合間、リサは若い女性刑事に手招きをした。
「ねぇ、ここの捜査一課ってところに、加瀬って刑事いない?」
「だったら何?」
少し強張ったその女性刑事の顔をみて、リサは不敵な笑みを浮かべた。
<ポーカーフェイスもできないくらいじゃ、刑事失格よ、あんた>
そしてその耳元でささやいた。
「いいこと、教えてあげる」と。