はぐれ雲。
亮二は、直人と浩介に今後の動きについて指示を出した。

「サツは俺をマークするだろう。俺の代わりにおまえたちが、新しいクラブを開店にこぎつけるんだ。俺はしばらく自宅でじっとする。携帯で全ての指示を出す、わかったな」

「はい、おまかせください」

亮二は事務所を出た。
あとに、直人、浩介と続く。

「あ…あの!」
上ずった声が、三人を呼び止めた。

一斉に振り返ると、青白い顔をしたレンが立っていた。

「あのっ」

しかし、亮二は眉間に皺を寄せて彼を見たまま何も言わない。

「亮二さん、こいつ、ブルーローズのバーテンのレンですよ」

「あぁ」

浩介が耳打ちをして、初めて思い出したかのように彼は頷く。

「何の用だ」
あの目がレンをとらえる。

彼の足が小刻みに震えた。

「リサ…さん…どうして彼女だけ捕まったんですか。あなたが彼女をそそのかして、売春をやらせたって聞きました」

「何ほざいてんだ、こいつ」

浩介が怒りを顕にして詰め寄った。

「あ、あわ…」
思わず後ずさる。

「浩介、いい」

亮二が浩介を抑えて、前に進み出た。

「リサは、自分で自分の首を絞めたんだ」

「そっ、それだって、あんたのためにやったことじゃないのかよ!」
レンは叫んだ。

「……」
亮二の目がレンをじっととらえて離さなかった。

「ひっ」

彼はその視線に背筋が凍る。

そして転がるようにして、背中を向け、逃げていった。

「なんだ、あいつ」
浩介のバカにしたような声が聞こえる。

<くそっ!あいつら!しかも亮二!あの野郎、俺のことを覚えていなかった。
どこまでも俺をバカにしやがって!許さねぇ!絶対に許さねぇ!>

亮二は複雑な顔で走り去るレンの後ろ姿を見ていた。

< 251 / 432 >

この作品をシェア

pagetop