はぐれ雲。
彼女と安住のやり取りの一部始を、桜井と達也は隣室から見ていた。
達也はあんな博子を見たことがない。
いつも「守らなければ」そう思っていた女が、今は凛とした強い女に見える。
<それは俺のためか?それともあいつのためか?>
最後に博子は安住に言った。
「今回のことは、全て私の軽率な行動が原因です。加瀬には何の責任もありません。どうかそのことはわかっていただけないでしょうか。どうか彼から刑事という仕事を取り上げないでください。お願いします…」
悲痛な声で、何度も何度も博子は頭を下げる。
そんな妻の様子に、達也は思わず目をそらしてしまった。
誰もいなくなった取調室。
達也は博子が座っていた椅子に腰かけ、机を触った。
『彼に責任はありません。彼から刑事であることを奪わないでください』
達也は手で顔をこすった。
突然ノックもなく、ドアが開く。
「加瀬」
聴取を担当していた安住だった。
「奥さん、表玄関まで送ってきた」
「すまなかったな、迷惑かけて」
「いいってことよ。まぁ俺としては奥さんが新明に情報を流したってことはないと思ってる。
上はどう判断するかわからないけどな。新明の恋人だった湊川リサがフラれた腹いせに、ふたりがデキてるって言ったような感じだなぁ。結構多いんだよな、そういうの。あとは新明に話聞かないことにはな。でも、そいつと奥さんが会ってたのは、痛かったな。本当におまえ気付かなかったのか?」
安住の問いに、達也はコツコツと指で机を弾きながら、「ああ…」と答えた。
知ってたよ、会ってることは知ってたけど、男の正体までは知らなかったんだよ、そう心の中で呟く。
「新明の聴取はいつ?」
「明日だ、見に来るか?」
「…わからない、すまん」
重苦しい雰囲気を振り払うように、安住の強面の顔が緩んだ。
「それよりおまえの奥さんきれいだな。俺も早く結婚したくなったよ、あんなきれいな奥さんだったらの話だけど。
それにおまえのことが好きで仕方ないんだろうな。最後の最後まで、おまえが刑事に戻れるのかって心配してたぞ」
「……」
達也はあんな博子を見たことがない。
いつも「守らなければ」そう思っていた女が、今は凛とした強い女に見える。
<それは俺のためか?それともあいつのためか?>
最後に博子は安住に言った。
「今回のことは、全て私の軽率な行動が原因です。加瀬には何の責任もありません。どうかそのことはわかっていただけないでしょうか。どうか彼から刑事という仕事を取り上げないでください。お願いします…」
悲痛な声で、何度も何度も博子は頭を下げる。
そんな妻の様子に、達也は思わず目をそらしてしまった。
誰もいなくなった取調室。
達也は博子が座っていた椅子に腰かけ、机を触った。
『彼に責任はありません。彼から刑事であることを奪わないでください』
達也は手で顔をこすった。
突然ノックもなく、ドアが開く。
「加瀬」
聴取を担当していた安住だった。
「奥さん、表玄関まで送ってきた」
「すまなかったな、迷惑かけて」
「いいってことよ。まぁ俺としては奥さんが新明に情報を流したってことはないと思ってる。
上はどう判断するかわからないけどな。新明の恋人だった湊川リサがフラれた腹いせに、ふたりがデキてるって言ったような感じだなぁ。結構多いんだよな、そういうの。あとは新明に話聞かないことにはな。でも、そいつと奥さんが会ってたのは、痛かったな。本当におまえ気付かなかったのか?」
安住の問いに、達也はコツコツと指で机を弾きながら、「ああ…」と答えた。
知ってたよ、会ってることは知ってたけど、男の正体までは知らなかったんだよ、そう心の中で呟く。
「新明の聴取はいつ?」
「明日だ、見に来るか?」
「…わからない、すまん」
重苦しい雰囲気を振り払うように、安住の強面の顔が緩んだ。
「それよりおまえの奥さんきれいだな。俺も早く結婚したくなったよ、あんなきれいな奥さんだったらの話だけど。
それにおまえのことが好きで仕方ないんだろうな。最後の最後まで、おまえが刑事に戻れるのかって心配してたぞ」
「……」