はぐれ雲。
「…くっだらねぇ。強引すぎるだろうが」

亮二は煙草を、何度も灰皿に押し付けた。

「どんな情報だよ?え?言ってみろよ。マジで名誉毀損で訴えるぞ、おまえら!」

「あくまで、そういう可能性がある、ということで参考までにお話をうかがっているんです。
少しでも可能性があるのなら、調べなくてはいけないのが、私たちの仕事です。
お気にさわったのなら、すみません。どうかご理解ください」

「だいたい、あの女にも興味ねぇし、俺なら、そんなまわりくどいことして警察情報なんて集めませんよ。金積んで、あんたらを買収したほうがよっぽ確かだぜ。どうだい、安住さんとやら?
俺と組むかい?」

亮二はにやつくと、小窓を見た。


桜井が腕組みをして再び唸る。

「この線から圭条会を落とすのは難しいやろうなぁ。新明が売春斡旋に関わってた証拠も、情報漏洩に関係した証拠も一切出てきてへん。他の線でたたかなあかんやろうなぁ」

「そうですね。あの新明という男、暴走族時代から頭のキレる奴だったらしくて、なかなかシッポを出さないらしいんです。組の中でも一目置かれているようですね」

四課の刑事が相槌を打ちながら言った。

「どんな小さなことでもいいんですよ。
この聴取で新明に何かボロが出たら、それを突破口に本部事務所の家宅捜索にこぎつけることができるんですがね。そしたら覚醒剤や銃器密輸の件も一発ですよ。桜井さんの追ってる13年前の強盗殺人の件も何かわかるかもしれませんしね」

達也はその刑事の顔を見た。

「あの…ちょっと待ってください。どういうことですか?」

桜井たちの会話を遮る。

「なんだよ、おまえ」

「博子…いえ、妻が新明亮二に情報を流したというのは、彼をここに連れてくるためのエサだったんですか?彼がここで何かしらボロを出すのを待って、圭条会の一斉捜査に持ち込むつもりだったんですか?!」

達也がその四課の刑事に詰め寄った。

「加瀬」

桜井が達也を引き離そうとするが、ますます彼は怒りをあらわにする。

「そうなんですか!?」

「加瀬!落ち着け!」

「答えろ!」

桜井はとうとう彼を羽交い絞めにした。



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