はぐれ雲。
新明亮二の事情聴取は、3時間近くにもわたって行われた。
辺りはすでに暗くなっている。
亮二はコートの襟を立てながら、外に出た。
どっと疲れが押し寄せ、夜の冷たい風に思わず首をすくめる。
今の時間、表の通りは帰宅を急ぐ者や繁華街へくりだそうとする人で、ごったがえしているに違いない。
人混みの苦手な亮二は、公園を横切ろうとした。
裏道から抜けようと思ったのだ。
何とかしのげた、そう溜息をついたところで、男が一人声をかけてきた。
「新明亮二さん、ですよね」
黙って声の主を振り返る。
暗闇ではっきり顔が見えない。
「見事な演技でしたよ」
男はそう言った。
亮二は無視をして、また歩き出す。
「地味な女はお嫌いとか?所帯じみた女は願い下げ…本当にそうでしょうか」
彼の踏み出した足が止まる。
警察関係者だと咄嗟に思った。
もう一度振り返ると、いぶかしげに亮二は尋ねた。
「あんたは?」
鋭いまなざしで睨んだが、その男は臆することなく亮二に近寄ってきた。
腕を伸ばせば届くくらいのところまで来ると、ピタリと足を止める。
次の瞬間、男の口から飛び出した言葉に、亮二の目が大きく見開いた。
「加瀬といいます」
電球の切れかけた街灯が、チカチカと点滅していた。
辺りはすでに暗くなっている。
亮二はコートの襟を立てながら、外に出た。
どっと疲れが押し寄せ、夜の冷たい風に思わず首をすくめる。
今の時間、表の通りは帰宅を急ぐ者や繁華街へくりだそうとする人で、ごったがえしているに違いない。
人混みの苦手な亮二は、公園を横切ろうとした。
裏道から抜けようと思ったのだ。
何とかしのげた、そう溜息をついたところで、男が一人声をかけてきた。
「新明亮二さん、ですよね」
黙って声の主を振り返る。
暗闇ではっきり顔が見えない。
「見事な演技でしたよ」
男はそう言った。
亮二は無視をして、また歩き出す。
「地味な女はお嫌いとか?所帯じみた女は願い下げ…本当にそうでしょうか」
彼の踏み出した足が止まる。
警察関係者だと咄嗟に思った。
もう一度振り返ると、いぶかしげに亮二は尋ねた。
「あんたは?」
鋭いまなざしで睨んだが、その男は臆することなく亮二に近寄ってきた。
腕を伸ばせば届くくらいのところまで来ると、ピタリと足を止める。
次の瞬間、男の口から飛び出した言葉に、亮二の目が大きく見開いた。
「加瀬といいます」
電球の切れかけた街灯が、チカチカと点滅していた。