ハルアトスの姫君―君の始まり―
* * *
外はもう闇だった。
少し冷たい風がジアの金の髪を走り抜けていく。
薄着で出たら意外と寒く、ジアは両腕を抱きかかえた。
「ちょ…っと寒いね。上着取って来ても…。」
最後まで言い終らないうちにふわっと何かが肩にかけられた。
「え?」
「俺、寒くないからジア使って。」
キースが羽織っている軽めのマントだった。
キースの熱がまだ残っていて温かい。
「本当に大丈夫?結構寒い…。」
「大丈夫だよ。俺は結構厚着だからさ。ジア、かなり薄着でしょ?」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
にっこりと微笑んだキースにジアは何も言えなくなった。
そしてそのまま闇が沈黙を助長する。
沈黙を破ったのはキースだった。
「ジア。」
「なに?」
「泣きたいの…我慢してない?」
「え…?」
「いいよ。誰にも言わないから。」
優しい声に甘えたくなるのは自分の弱さだと分かっていた。
だけどどうしても泣いてしまいたい、そんな風に思ってしまう。
シュリの表情を思い浮かべれば思い浮かべるほど、ただただ苦しくて切ない。
自分はただその想いを推し量ることしか出来ないのだと分かっていても。
外はもう闇だった。
少し冷たい風がジアの金の髪を走り抜けていく。
薄着で出たら意外と寒く、ジアは両腕を抱きかかえた。
「ちょ…っと寒いね。上着取って来ても…。」
最後まで言い終らないうちにふわっと何かが肩にかけられた。
「え?」
「俺、寒くないからジア使って。」
キースが羽織っている軽めのマントだった。
キースの熱がまだ残っていて温かい。
「本当に大丈夫?結構寒い…。」
「大丈夫だよ。俺は結構厚着だからさ。ジア、かなり薄着でしょ?」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
にっこりと微笑んだキースにジアは何も言えなくなった。
そしてそのまま闇が沈黙を助長する。
沈黙を破ったのはキースだった。
「ジア。」
「なに?」
「泣きたいの…我慢してない?」
「え…?」
「いいよ。誰にも言わないから。」
優しい声に甘えたくなるのは自分の弱さだと分かっていた。
だけどどうしても泣いてしまいたい、そんな風に思ってしまう。
シュリの表情を思い浮かべれば思い浮かべるほど、ただただ苦しくて切ない。
自分はただその想いを推し量ることしか出来ないのだと分かっていても。