ハルアトスの姫君―君の始まり―
* * *


今宵は満月。
そんな日の夕食が終わった時間に、シュリに呼び止められた。


「ジア、それにクロハ、ミア…そしてキース。話がある。」

「え…?」

「なんだよ?」

「にゃ?」

「よほど大事な話のようですね。」

「約束だからな。氷の涙について話そう。」

「えっ!?ホント…?」

「やっとか。」

「私の知っている範囲でしか話せないがな。」

「う…うん…。」


嬉しいはずなのに言葉に詰まる。曖昧にしか頷けない自分がもどかしい。
話がどれくらい長くなるのか分からないし、あと数時間もすれば自分はヒトではなくなる。
その姿をここで晒して良いものか、今の自分には上手く判断ができない。


「今日だと何か不都合か?」


シュリはどこか鋭く、そしてどこか落ち着いた表情で尋ねてきた。
その瞳を見つめ返してなんとか言葉を絞り出す。


「…大丈夫よ。」

「そうか。では話を進めよう。」


シュリは一度、小さく息を吐き出し、そして口を開いた。

< 133 / 424 >

この作品をシェア

pagetop