ハルアトスの姫君―君の始まり―
「『悲劇の授名式』。そこで何があったかは分からねぇ。
だけどそこでお前らは〝呪い〟を受けたんじゃねぇの?
ハルアトス王家に生まれた姫君は双子。…お前たちも双子だ。
んであのじいさんが見間違えるほどに似ているお前と王妃。
お前たちの年齢を考えても当てはまる。」


いつになく真剣な表情のクロハに、言葉を失った。
ミアが心配そうにあたしを見上げている。


「…ほぅ、なるほどな。お前らしい考えの組み立て方だ。」

「すかした顔で言われても素直に喜べねぇよ。
つーかシュリ!てめぇも何か知ってんだろ、元々。」

「何かとは何だ?」

「ジアやミアの出生のこととか、キースの正体とかそういうもん全てだよ全て!
出会ったときから、お前は全てを分かってたんだろ?」

「…もしここで私が分かっていた、と言ったら何かが変わるか?」

「は?」


シュリの声のトーンが一段落ちた。


「私はヒトではない。だからこそ知り得ていることがある。
だがそれをお前たちに伝えることはできない。」

「なんでだよ?」

「それは私がヒトではないからだ。」

「…意味分かんねぇ。」

「…だろうな。意味なんてもの、後で分かればそれで良い。
それよりも、キースに関する情報は得られなかったのか?」

「…うん。ギル以外は誰にも…。」

「そうか。それでは意味がないな、少なくともジアにとっては。」


シュリの手があたしの右肩に触れた。

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