ハルアトスの姫君―君の始まり―
招かれざる客
* * *


ハルアトスに来て3日が経った。
相変わらず人はいない。ギルにも再会できていない。


「…今日、いつにも増して曇天。」

「雲黒っ!雷とか嫌だなぁ…。ミアも嫌でしょ?」

「にゃー!」

「ミアは雨も雷もだめだもんな。」

「あ、じゃあ雨降る前に情報収集してこようかな。
こういう日ならフード被ってても怪しまれないし…。
そしたらシュリに魔法かけてもらわなくても平気だし。」

「おれも行くよ。」

「一人で大丈夫!クロハ、あんまり休めてないみたいだし休みなよ。ちゃーんと!」

「ちゃんと休んでるっつーの!」

「う・そ!だってほら。」


クロハの目の下に指をあてた。
そこはいつもより少しくぼんでいて黒い。


「目の下にクマ。睡眠不足の証拠。夜な夜な何やってるのかは知らないけどちゃんと寝ないといざって時に大変だよ?」

「んなこたぁ分かってるっつの!
でも単独行動は止めろ。危ねぇから。」

「大丈夫!マント被っちゃえば剣も見えないし。
んじゃ行ってきます!クロハはちゃーんと休んでよ!」

「あ、おいっ!ジアっ!」


クロハの声を振り切って小屋の外へと飛び出し、王宮の方へと走った。

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