ハルアトスの姫君―君の始まり―
「…あなたの言う通りよ。
理由なんて選択の後付けでしかないわ。
理由がどれだけ正当でも、選択の結果に起こりうることへの責任にはなり得ない。」

「それでも、姫君は選択するのか?
〝守る〟未来を。」

「ええ。」

「…お前が真に守りたいのは…一体誰だ?
ミアか、それとも自身か…それとも…。」


ジョアンナがキースを一瞥した。





「ヒトでも魔法使いでもない、中途半端なこの男か?」





ありありと悪意を含んで、ジョアンナが言葉を落としていく。
…身体が震える。
生まれて初めて、〝怒り〟を理由として。





「キースは中途半端じゃない。」


声まで震える。


「そう怒るな。私は事実を言ったまでだ。
それに、お前の守りたいものが分かった。」


ジョアンナが一呼吸おいた。





「キースのために、ここに来たのだろう?」

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