ハルアトスの姫君―君の始まり―
タタッとキースの足音が加速した。
「っ…!」
キン…という刃の交わる音がする。
つばぜり合いになって、間合いが近くなる。
カタカタと交わった刃に手の震えが伝わっている。
それに気付いたキースは表情を変えずに淡々と言葉を紡いだ。
「…震えているなんて、あなたは本当に剣士なのですか?」
「っ…。」
そう言われても仕方がない有様だ。
やらなければやられる。そんな状況だというのにまるで力が入らない。
―――迷いを捨てると決めたはずなのに。
「甘い剣筋で私に勝てるなどとはお思いにならない方が賢明です。」
「うっ…っ…!」
キースに強くはね返され、間合いができたその瞬間にすっと斬られた左肩の上部。
深く斬られたわけではないが血が滴る。
あたしは左手に剣を持ち、右手をそっと左肩に添えた。
…思っていたより傷は深くない。
こんな風に物理的に傷付けられても戦闘意欲が湧いてこないなんて、剣士失格だ。
向けられた刃に迷いは一切ない。だから強い。
それに引き換え、あたしは…
「この程度だとは思いませんでした。
…あなたは弱い。」
キースがぐっと間合いを詰めてきた。
「っ…!」
キン…という刃の交わる音がする。
つばぜり合いになって、間合いが近くなる。
カタカタと交わった刃に手の震えが伝わっている。
それに気付いたキースは表情を変えずに淡々と言葉を紡いだ。
「…震えているなんて、あなたは本当に剣士なのですか?」
「っ…。」
そう言われても仕方がない有様だ。
やらなければやられる。そんな状況だというのにまるで力が入らない。
―――迷いを捨てると決めたはずなのに。
「甘い剣筋で私に勝てるなどとはお思いにならない方が賢明です。」
「うっ…っ…!」
キースに強くはね返され、間合いができたその瞬間にすっと斬られた左肩の上部。
深く斬られたわけではないが血が滴る。
あたしは左手に剣を持ち、右手をそっと左肩に添えた。
…思っていたより傷は深くない。
こんな風に物理的に傷付けられても戦闘意欲が湧いてこないなんて、剣士失格だ。
向けられた刃に迷いは一切ない。だから強い。
それに引き換え、あたしは…
「この程度だとは思いませんでした。
…あなたは弱い。」
キースがぐっと間合いを詰めてきた。