ハルアトスの姫君―君の始まり―
「…過去を見て…っていうかキースの考えでいけばジョアンナの過去に立ち合って…。」

「過去から戻って来てからは俺も見た通りってことだよね。
そこからのこともちゃんと覚えてる?」

「覚えてる。」

「あ、それで、ヴィステンがなぜあの空間にああして現れたのかってことに対する俺の解釈なんだけど…。」

「うん。」


あたしはキースの顔をじっと見つめた。


「ジアの力の強さに引っ張られて過去からそのまま来てしまったんじゃないかって…思ってる。」

「え…?」

「ヴィステンの発言から考えるに、彼はもう死んでいる。あれは実体じゃない。
…とすれば、あれは思念体とでも考えるべきものかもしれない。」

「シネンタイ…?」

「想いの塊だと思ってくれればいい。形のない想いのような不安定なものは何か強い力というものに引っ張られやすい。
ジョアンナの過去に戻って〝見た〟ヴィステンの後悔や愛情、色んな想いがジアの力に強烈に引き寄せられて、それがあの異空間の中で実体化した、と考えている。納得…いくかな?」

「うーん…ごめん。難しくて多分キースの言葉の半分も理解できていないんだと思うけど、あたしが一つ気になるのは…。」

「うん?」


気になることは一つだけ。
全てが終わってしまった今となっては、正しい答えを知ることなど出来ないのかもしれないけれど。


「…二人の想いのすれ違いは、ちゃんと解消されたのかな…?
二人はあの瞬間、幸せ…だった…?」


自分と重なって見えたジョアンナは、幸せだと思えたのだろうか?
素直になれずに後悔から破壊を生んだ彼女は…。

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