ハルアトスの姫君―君の始まり―
「傍にいるよ、ずっと。」
キースの声が耳元で聞こえたかと思うとゆっくりと身体が離れた。
「俺の…お姫様…。」
そっと重なったのは、冷たい唇だった。
張りつめた雪の降る空気の中、徐々に唇が熱を帯びていく。
聞き慣れない甘美な響きを残して唇が離れると、キースと目が合った。その途端に急激に恥ずかしさが襲ってきて、思わず目が泳ぐ。
「…どうして目を逸らすの?」
「だっ…だって恥ず…恥ずかしいしっ…!」
「ジア、さっきはあんなにかっこよかったけど、こんな風に可愛い顔もしてくれるから…好き。」
「っ…別にあたしは可愛くなんてないわ!」
「可愛いよ。ジアは可愛い。」
子どもみたいに笑ってそう言うキース。
…まるで辛いことなんて何一つ無かったかのように穏やかな時間が今、確実に流れている。
「っくしゅ!」
「…どうしてこんなに薄着で外に出て来たの?王宮にはもっと良い服あっただろう?」
「式典のドレスが重かったのー!だから思いっきり脱いで、で手近にあった服を…。」
「ほら、これ羽織って。」
ふわりと掛けられたのはキースのマントだった。温かくて心地が良い。
「さて、じゃあ国王陛下へお会いできるように取り計らってもらっても良いかな?」
「え?」
「だって俺、この庭にきちゃったのは不法侵入だしね。まずはそのことで謝罪をしたいよ。」
「…不法侵入って何か嫌な響き。」
少しだけ笑って、立ち上がる。
すると右手がキースの左手に包まれた。
キースの声が耳元で聞こえたかと思うとゆっくりと身体が離れた。
「俺の…お姫様…。」
そっと重なったのは、冷たい唇だった。
張りつめた雪の降る空気の中、徐々に唇が熱を帯びていく。
聞き慣れない甘美な響きを残して唇が離れると、キースと目が合った。その途端に急激に恥ずかしさが襲ってきて、思わず目が泳ぐ。
「…どうして目を逸らすの?」
「だっ…だって恥ず…恥ずかしいしっ…!」
「ジア、さっきはあんなにかっこよかったけど、こんな風に可愛い顔もしてくれるから…好き。」
「っ…別にあたしは可愛くなんてないわ!」
「可愛いよ。ジアは可愛い。」
子どもみたいに笑ってそう言うキース。
…まるで辛いことなんて何一つ無かったかのように穏やかな時間が今、確実に流れている。
「っくしゅ!」
「…どうしてこんなに薄着で外に出て来たの?王宮にはもっと良い服あっただろう?」
「式典のドレスが重かったのー!だから思いっきり脱いで、で手近にあった服を…。」
「ほら、これ羽織って。」
ふわりと掛けられたのはキースのマントだった。温かくて心地が良い。
「さて、じゃあ国王陛下へお会いできるように取り計らってもらっても良いかな?」
「え?」
「だって俺、この庭にきちゃったのは不法侵入だしね。まずはそのことで謝罪をしたいよ。」
「…不法侵入って何か嫌な響き。」
少しだけ笑って、立ち上がる。
すると右手がキースの左手に包まれた。