ハルアトスの姫君―君の始まり―
これから自分達の前に立ちはだかる壁は、きっと今思っているよりもずっと多くてずっと高い。魔法使いと人間の壁、魔法使いと人間の半分であることの壁。数え始めたらおそらくキリがない。しかしそれは越えられないものでは決してない。
越えてみせる。ジアは固く決意した。流した涙も、切ない思い出も、痛みも悲しみも全て強さに変えて。幸せを導くために。
「キース!」
「なに?」
「一緒に始めよう。」
その台詞には聞き覚えがあった。キースは微笑みながら言葉を紡ぐ。
「…それ、前に俺が言った台詞だね。」
「うん。一人で始めるのはちょっと怖いけど、キースがいるなら大丈夫。」
「…俺も、そうだな…ジアがいるなら。」
引いていたはずの手をぐっと引かれ、ジアの体勢が崩れる。背中にキースの腕が回ったと思ったその瞬間に、キースの唇が頬に触れた。
「なっ…!」
「少しずつ、分かってもらいたい。たくさんの人に、たくさんのことを。そして君と共に在る未来を作りたい。…君と一緒に。」
「わ、分かってるけどっ…びっくりするからいきなりはやめてっ!」
「照れた顔も可愛いって知った今はちょっと無理かもしれないなぁ。」
「もー!キースっ!」
「はいはい、ごめんごめん。」
繋がった手も、想いも、それは確かにここに在る。
越えてみせる。ジアは固く決意した。流した涙も、切ない思い出も、痛みも悲しみも全て強さに変えて。幸せを導くために。
「キース!」
「なに?」
「一緒に始めよう。」
その台詞には聞き覚えがあった。キースは微笑みながら言葉を紡ぐ。
「…それ、前に俺が言った台詞だね。」
「うん。一人で始めるのはちょっと怖いけど、キースがいるなら大丈夫。」
「…俺も、そうだな…ジアがいるなら。」
引いていたはずの手をぐっと引かれ、ジアの体勢が崩れる。背中にキースの腕が回ったと思ったその瞬間に、キースの唇が頬に触れた。
「なっ…!」
「少しずつ、分かってもらいたい。たくさんの人に、たくさんのことを。そして君と共に在る未来を作りたい。…君と一緒に。」
「わ、分かってるけどっ…びっくりするからいきなりはやめてっ!」
「照れた顔も可愛いって知った今はちょっと無理かもしれないなぁ。」
「もー!キースっ!」
「はいはい、ごめんごめん。」
繋がった手も、想いも、それは確かにここに在る。