ハルアトスの姫君―君の始まり―
ザシュッ…
勝負はいつだって一瞬だ。
上半身を屈め、相手の間合いに入ったところで大きく斬り込んだ。
スピードなら負けない、そんな自信もあったから。
結果はもちろんジアの勝利だった。
ほとばしる『血』が、ジアの美しい金の髪を赤く染めた。
目の前の光景は自分の手で作ったものなのに、それが信じられなくて力が入らない。
やらなきゃ、やられる。
そう思ったことに嘘はない。
確かに数秒前はそう思っていて、それは間違いじゃないと信じていた。
それなのに…
『何かを殺した』という事実はジアにとって、あまりにも大きかった。
それこそ、身体中の力を失ってしまうくらいには。
ジアの方に来ていたもう一人が剣を振りかざす。
「ジア!」
クロハの鋭い声が飛んでくる。
自分に危機が迫っているのはよく分かっている。
今剣を握り直さなければ死んでしまう。頭では冷静に状況を理解出来ているのに、身体がついてこない。
「ジアっ!」
その声はクロハのものではなかった。
その声が聞こえたのと同時に、目の前にあった影がどさっと倒れる。
『血』がまた噴き出した。
勝負はいつだって一瞬だ。
上半身を屈め、相手の間合いに入ったところで大きく斬り込んだ。
スピードなら負けない、そんな自信もあったから。
結果はもちろんジアの勝利だった。
ほとばしる『血』が、ジアの美しい金の髪を赤く染めた。
目の前の光景は自分の手で作ったものなのに、それが信じられなくて力が入らない。
やらなきゃ、やられる。
そう思ったことに嘘はない。
確かに数秒前はそう思っていて、それは間違いじゃないと信じていた。
それなのに…
『何かを殺した』という事実はジアにとって、あまりにも大きかった。
それこそ、身体中の力を失ってしまうくらいには。
ジアの方に来ていたもう一人が剣を振りかざす。
「ジア!」
クロハの鋭い声が飛んでくる。
自分に危機が迫っているのはよく分かっている。
今剣を握り直さなければ死んでしまう。頭では冷静に状況を理解出来ているのに、身体がついてこない。
「ジアっ!」
その声はクロハのものではなかった。
その声が聞こえたのと同時に、目の前にあった影がどさっと倒れる。
『血』がまた噴き出した。