ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ま…魔女…?」

「よく分かったな。そもそも今の人間は魔女の存在など知らないだろう。」

「生まれて初めてだよ、本物に会うのは。」

「だろうな。魔女は狩られる対象にある。」

「狩られる…?」

「魔女狩りを知っているか?」

「…っ…知ってる…。」

「それだ。まさにそれが起こっている。」

「じゃあシュリも危ないんじゃ…。」

「そうだな。だからああしてレスソルジャーが結界を破りに来る。」

「結界?」

「レスソルジャーごときに破られるような脆弱な結界ではないのにな。
来るだけ無駄というものだ。」

「でも…危険じゃ…。」

「今回はお前たちに世話になった。面倒事を減らしてくれたことには感謝している。」


まっすぐにシュリはそう言った。


「私は質問に答えた。だからお前たちも質問に答えろ。」

「な…なに?」

「何故、こんな危険なご時世にこんな森を彷徨っている?」

「…氷の涙を探しているからよ。」

「氷の涙…だと?」


シュリの表情が一瞬にして曇った。
…何か知ってる、直感的にジアはそう感じた。

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