ハルアトスの姫君―君の始まり―
* * *
「シュリ…朝ご飯、作ったんだけど…。」
作ったのはフレンチトーストだった。シュリがどこから材料を手に入れてきているのかは知らないが、この家には食べ物が常備されている。
「いらぬ。」
返って来た声はひどく冷たい。でもこんなのはもうすでに日常になりかけている。
「でももう1週間は食べてない…。」
「お前たちでいう一週間なんて、私にとっては1秒みたいなものだ。問題ない。」
「シュリ…。」
「気遣い無用だ。」
シュリの言葉は毎日冷たく降り注いだ。しかしそれを否定することも、ましてやその冷たい言葉の理由に触れることさえかなわなかった。
ジアは肩を落とした。今のジアにはこれ以上どう接すればいいのか分からない。
でも、いつもならここで終わりのはずの会話が、今日はここで途切れずに続いた。
「約束は果たそう。氷の涙の話はする。だが…時間をくれ。」
その声は弱々しく、いつものシュリらしさを微塵も感じさせないものだった。
ジアはゆっくりとドアに近付いて、そっと口を開いた。
「シュリ…あたしにできることはある?」
「今は…駄目だ。どうしても。」
「そっか。でもご飯は食べてよ。心配だから。ここに置いておくから、あたしがいなくなったらでいいから取って食べて。」
ジアは床に皿を置いてその場を立ち去った。今の自分にできることも、今の自分に求められていることもそれだけな気がしていた。
「シュリ…朝ご飯、作ったんだけど…。」
作ったのはフレンチトーストだった。シュリがどこから材料を手に入れてきているのかは知らないが、この家には食べ物が常備されている。
「いらぬ。」
返って来た声はひどく冷たい。でもこんなのはもうすでに日常になりかけている。
「でももう1週間は食べてない…。」
「お前たちでいう一週間なんて、私にとっては1秒みたいなものだ。問題ない。」
「シュリ…。」
「気遣い無用だ。」
シュリの言葉は毎日冷たく降り注いだ。しかしそれを否定することも、ましてやその冷たい言葉の理由に触れることさえかなわなかった。
ジアは肩を落とした。今のジアにはこれ以上どう接すればいいのか分からない。
でも、いつもならここで終わりのはずの会話が、今日はここで途切れずに続いた。
「約束は果たそう。氷の涙の話はする。だが…時間をくれ。」
その声は弱々しく、いつものシュリらしさを微塵も感じさせないものだった。
ジアはゆっくりとドアに近付いて、そっと口を開いた。
「シュリ…あたしにできることはある?」
「今は…駄目だ。どうしても。」
「そっか。でもご飯は食べてよ。心配だから。ここに置いておくから、あたしがいなくなったらでいいから取って食べて。」
ジアは床に皿を置いてその場を立ち去った。今の自分にできることも、今の自分に求められていることもそれだけな気がしていた。