ハルアトスの姫君―君の始まり―
「今日もダメだった?」
「キース。」
ジアを待ち構えるかのように立っていたのはキースだった。
「ドアを開けてはくれなかったけど、一応、フレンチトーストは置いてきた。」
「そっか。少し、進歩だね。」
「本当に少し、だけだけど。」
「後退しなければ上出来だよ。殊更、シュリ様に関してはね。」
「…あのね、キース。」
「なに?」
「やっぱり…彼が関係していると思うんだ。」
「シャリアス・ウドリック。」
キースはジアがあえて口にしなかった名を口にした。それもかなり淡々と。
「シュリ様に関係していたのかもしれないね。というか、その可能性は濃厚だと思う。でも…。」
「でも?」
「それに踏み込めるような立場じゃない。少なくとも俺は。」
そんなことはジアも分かっていた。
シュリとの関係はあくまで一方的だ。ジアたちが押し掛けて面倒を見てもらっている。
一応、レスソルジャーの襲来から村を守ったことも2回ほどあるが、ジアたちにとっての最初の襲撃がシュリにとっての最初の襲撃かどうかまでは分からない。むしろ、シュリの口調から言って前に何度も襲撃があったことを暗示しているような気もした。
だとするならば、今までこうしてシュリがこの村とともに在ることができたのは単にシュリの力のおかげだと言える。そう考えると、ジアたちがここにいる必要はないことになる。
―――ジアはシュリを必要としている。情報源としても、魔女としても…一人の人間としても。でもそれがシュリにとってはそうではない。
シュリの言葉に嘘はない。それは直感的に感じたことだった。嘘のない言葉は重い。そして刺さる。それもジアは身をもって感じた。シュリはいつだって正しいことしか言わない。だけどいつでも答えを教えてくれるわけではない。
「食べてくれるといいね。フレンチトースト。」
「うん。」
ジアは小さく頷いた。
「キース。」
ジアを待ち構えるかのように立っていたのはキースだった。
「ドアを開けてはくれなかったけど、一応、フレンチトーストは置いてきた。」
「そっか。少し、進歩だね。」
「本当に少し、だけだけど。」
「後退しなければ上出来だよ。殊更、シュリ様に関してはね。」
「…あのね、キース。」
「なに?」
「やっぱり…彼が関係していると思うんだ。」
「シャリアス・ウドリック。」
キースはジアがあえて口にしなかった名を口にした。それもかなり淡々と。
「シュリ様に関係していたのかもしれないね。というか、その可能性は濃厚だと思う。でも…。」
「でも?」
「それに踏み込めるような立場じゃない。少なくとも俺は。」
そんなことはジアも分かっていた。
シュリとの関係はあくまで一方的だ。ジアたちが押し掛けて面倒を見てもらっている。
一応、レスソルジャーの襲来から村を守ったことも2回ほどあるが、ジアたちにとっての最初の襲撃がシュリにとっての最初の襲撃かどうかまでは分からない。むしろ、シュリの口調から言って前に何度も襲撃があったことを暗示しているような気もした。
だとするならば、今までこうしてシュリがこの村とともに在ることができたのは単にシュリの力のおかげだと言える。そう考えると、ジアたちがここにいる必要はないことになる。
―――ジアはシュリを必要としている。情報源としても、魔女としても…一人の人間としても。でもそれがシュリにとってはそうではない。
シュリの言葉に嘘はない。それは直感的に感じたことだった。嘘のない言葉は重い。そして刺さる。それもジアは身をもって感じた。シュリはいつだって正しいことしか言わない。だけどいつでも答えを教えてくれるわけではない。
「食べてくれるといいね。フレンチトースト。」
「うん。」
ジアは小さく頷いた。