幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「アレクサンドラ、これがいいと思うのだけれど」


ジェニスタが、王妃様の衣装箱から飾り気のない帯を出してきた。


「あっ、いいわね。それだけ長さがあれば、見栄えするわ」


帯を受け取ろうとした時、あたしはジェニスタの後ろ側の壁で動くモノに気付いた。


トカゲのようにも見える<それ>は、微かに赤い光を放っている。


ジャルグ?


いや、ジャルグを召喚した覚えはない。



「アレクサンドラ?」


あたしは王妃様に呼ばれて、はっとした。


「すみません。ちょっとボンヤリしてました」


もう一度壁を見た時には、<それ>は消えていた。

サラマンダーだと思ったのは、気のせいだろうか?


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