幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「明日になって、皆が快方に向かえば安堵いたします」

王妃様はそう言って微笑んだ。


「そうだな――だが、今日はもう十分だ。少し休んだ方がいい。恐ろしい思いをさせて悪かった」


「大蛇は恐ろしゅうございましたが、わたくしは隠れていただけですから大丈夫です」


「その事だけではない。修道院から連れ出されて、死刑台に連れていかれると思ったのではないか?」


「ああ! それは思いましたけれど、常に覚悟している事ですので。お気遣いなく」


王様は顔をしかめた。


「王妃、まさかとは思うが、そなたの父上はいざとなれば、娘御が敵方にいても攻めてくるようなお方か?」


「父には子供がたくさんおりますゆえ」

王妃様は申し訳なさそうな顔をした。

「人質としては、あまり役に立ちませんね」


王様はホークを見た。


「ホーク、策を練り直したい」


「その方がいいようですね」



< 270 / 289 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop