飛べない黒猫
「すごーい!真央ちゃん…」


美香が歓声をあげる。


「蓮さん、見て見て!
真央ちゃん、これで4つ目だよ。」


4つ目の黄色いヨーヨーを釣り上げて、ボールに入れる。


「あっ…切れちゃった…。」


針からヨーヨーを外す時に、髪のコヨリが切れた。


「凄いね、あたしは2つ…真央ちゃんの勝ち!」


真央は4つのヨーヨーを受け取り、目を輝かせて蓮を見た。
頬を赤らめ瞬きをしている。


…これは、かなり喜んでいる。


蓮は笑った。



その後も美香の後について、わたあめ・やきとり・輪投げゲームなど、次々にまわった。

真央は美香に言われるままに付いて歩く。
それでも、楽しそうに笑っている。

我が強く、ぶっきらぼうな美香だか、まるで妹の面倒を見る姉のように真央に接している。
ほほえましくさえ感じる。

案外この2人、仲良くなれるかもしれないな…蓮はホッとして真央と美香を見ていた。


「そろそろ校舎に入ろうよ。
メイド喫茶で休憩ね。」


美香の後について、3人は校舎に入った。


中庭に比べて校舎の中は人の出入りも多く、玄関も廊下も混雑していた。
教室の前に行列ができていて、にぎわっている箇所もあった。

カップケーキを籠に入れて出張販売している売り子の生徒とすれ違う。

クマやウサギの着ぐるみを着てプラカード持った宣伝団体もいた。


真央は目を丸くして立ち止まる。
若干、動揺しているようだった。
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