飛べない黒猫
蓮は学生時代、殆ど学校に登校していない、【引きこもり】だった。
高校は数回通って中退。
時間は有り余るほどあった。
通信で大学入学資格検定、いわゆる大検を取得した。
これは、高校卒業者と同等以上の学力があることを認定するための資格で、これにより大学を受験する資格を得られるのだ。
大学生になると、おせっかいなクラスメイトは存在しない。
煩わしい友人関係を持つことなく、必要な授業の単位を取ることに集中出来るのが幸いだった。
大学を卒業し、大手ソフトウェア会社にプログラマーとして勤め、2年前に独立。
自宅を事務所にして仕事を請け負っていた。
並外れた知識と抜群のセンスで、退社したソフトウエア会社や元顧客からの依頼は切れることが無く、仕事は順調だった。
抱えていた仕事を、なんとか納期内に間に合わせホッとひと息ついた時、母親から青田家と一緒にクリスマスを過ごさないかと誘われたのだった。
蓮が真央に会ってから、3週間が過ぎていた。
いつもなら断っている。
気を使い、人と関わっていくのは苦痛だ。
これまでも何度か母親から、関係業種の人達が集まるパーティや、交流会に誘われる事があった。
蓮の仕事に繋がるだろうからと言われたが、今のところ仕事は順調だし、差し迫ってどうこうしたい事があるわけでもない。
気にかけてくれる母親には悪いと思いながらも、そういった部類の交流を断り続けていた。
だが、今回はあっさりと承諾した。
真央の事が気になっていた。
別に、恋愛感情が芽ばえたとか、そういったたぐいではない。
真央は、まだ、ほんの子供だ。
では、何故…
真央が震える小さな子猫を見つけた時に守ってやりたいと抱きしめたように、蓮もまた、震える小さな真央に対して、母性のような愛情を感じたのか…
それとも、同情。
人は、自分より哀れな存在を確認する事で、安心するものだ。
優越感を糧に自分に自信をもたせて、いっときだけでも劣等感を払いのけ、つかの間だけの満足に安心するのだ。
まぁ、兄妹になるんだ…気になって当たり前かもしれないか。
蓮は、真央の寂しそうな大きな瞳を思い出していた。
高校は数回通って中退。
時間は有り余るほどあった。
通信で大学入学資格検定、いわゆる大検を取得した。
これは、高校卒業者と同等以上の学力があることを認定するための資格で、これにより大学を受験する資格を得られるのだ。
大学生になると、おせっかいなクラスメイトは存在しない。
煩わしい友人関係を持つことなく、必要な授業の単位を取ることに集中出来るのが幸いだった。
大学を卒業し、大手ソフトウェア会社にプログラマーとして勤め、2年前に独立。
自宅を事務所にして仕事を請け負っていた。
並外れた知識と抜群のセンスで、退社したソフトウエア会社や元顧客からの依頼は切れることが無く、仕事は順調だった。
抱えていた仕事を、なんとか納期内に間に合わせホッとひと息ついた時、母親から青田家と一緒にクリスマスを過ごさないかと誘われたのだった。
蓮が真央に会ってから、3週間が過ぎていた。
いつもなら断っている。
気を使い、人と関わっていくのは苦痛だ。
これまでも何度か母親から、関係業種の人達が集まるパーティや、交流会に誘われる事があった。
蓮の仕事に繋がるだろうからと言われたが、今のところ仕事は順調だし、差し迫ってどうこうしたい事があるわけでもない。
気にかけてくれる母親には悪いと思いながらも、そういった部類の交流を断り続けていた。
だが、今回はあっさりと承諾した。
真央の事が気になっていた。
別に、恋愛感情が芽ばえたとか、そういったたぐいではない。
真央は、まだ、ほんの子供だ。
では、何故…
真央が震える小さな子猫を見つけた時に守ってやりたいと抱きしめたように、蓮もまた、震える小さな真央に対して、母性のような愛情を感じたのか…
それとも、同情。
人は、自分より哀れな存在を確認する事で、安心するものだ。
優越感を糧に自分に自信をもたせて、いっときだけでも劣等感を払いのけ、つかの間だけの満足に安心するのだ。
まぁ、兄妹になるんだ…気になって当たり前かもしれないか。
蓮は、真央の寂しそうな大きな瞳を思い出していた。