飛べない黒猫
重厚な木のドアを開ける。
広々とした玄関ホール。
嘘だろ…俺の部屋くらいはある。
2階に続く吹き抜けの高い天井と大きな天窓。
天然木の立派な梁が、長い年月を経て飴色にやけていた。
使い込まれた品のよい家具は、それぞれがしっくりとそこに調和している。
足元を優しく柔らかなあかりが照らす。
アンティーク家具の専門店を経営する洋子がうっとりと見入るほど繊細で美しい造形のランプは、品よく控えめに蓮たちを迎え入れた。
手入れが行き届いた古い洋館。
たまげたな…。
どれだけの金持ちだよ。
蓮達を笑顔で招き入れたこの豪邸の主人は、物腰の静かな、どちらかと言えば地味で人の良さそうな男であった。
「はじめまして、蓮くん…ですね。
青田勝です。
よく来てくれました、うれしいです。」
敬語で、しかも深々と頭を下げてきた。
地位も名誉もある大の大人が、俺みたいな若造に。
「はじめまして、蓮です。
母がお世話になっています。」
しかたない。
俺も頭下げるしかないだろう、この場合。
「うふふっ、なんか2人とも、おかしい…」
洋子はクスクス笑って、持ってきたワインを青田に差し出す。
「今日はお招き頂いてありがとうございます。
珍しいワインが手に入ったのよ、すごいでしょ。
一緒に飲もうと思って。」
「ほぅ…これは、これは…楽しみだ。
さっ、入ってください。
蓮くん、どうぞ。」
青田は嬉しそうに微笑み、2人を中へ案内した。
広々とした玄関ホール。
嘘だろ…俺の部屋くらいはある。
2階に続く吹き抜けの高い天井と大きな天窓。
天然木の立派な梁が、長い年月を経て飴色にやけていた。
使い込まれた品のよい家具は、それぞれがしっくりとそこに調和している。
足元を優しく柔らかなあかりが照らす。
アンティーク家具の専門店を経営する洋子がうっとりと見入るほど繊細で美しい造形のランプは、品よく控えめに蓮たちを迎え入れた。
手入れが行き届いた古い洋館。
たまげたな…。
どれだけの金持ちだよ。
蓮達を笑顔で招き入れたこの豪邸の主人は、物腰の静かな、どちらかと言えば地味で人の良さそうな男であった。
「はじめまして、蓮くん…ですね。
青田勝です。
よく来てくれました、うれしいです。」
敬語で、しかも深々と頭を下げてきた。
地位も名誉もある大の大人が、俺みたいな若造に。
「はじめまして、蓮です。
母がお世話になっています。」
しかたない。
俺も頭下げるしかないだろう、この場合。
「うふふっ、なんか2人とも、おかしい…」
洋子はクスクス笑って、持ってきたワインを青田に差し出す。
「今日はお招き頂いてありがとうございます。
珍しいワインが手に入ったのよ、すごいでしょ。
一緒に飲もうと思って。」
「ほぅ…これは、これは…楽しみだ。
さっ、入ってください。
蓮くん、どうぞ。」
青田は嬉しそうに微笑み、2人を中へ案内した。