飛べない黒猫
「それ、娘が作りました。」
背後からの声に驚き振り向くと青田が微笑んでいた。
「よくあるじゃないですか。
我が子が描いた絵を、リビングの壁に所狭しと貼り付けてるの。
他人から見たら相当お粗末な作品でも、親バカなんですね…
晴れ晴れしく讃えてしまうのです。
私も御多分に洩れず、その親バカでしてね。
展示コーナーなど設けてしまいました。」
青田はガラスのキャビネットの扉を開けて、中のステンドグラスを取りだした。
そして、光に透けるように頭上で角度を変えて眺めた。
「娘は幼い時に不幸な事故にあってしまいまして…。
母親を目の前で亡くしたのです。
自らも傷を負って…
それが原因で言葉を発する事が出来なくなってしまいました。」
表情が曇る。
しかし蓮と目が合うと、また柔和な顔に戻った。
「学校に行けなくなった娘の為に、家庭教師を頼みまして…あ、それが、今キッチンにいる和野さんですが…
和野さんは何でも出来るスーパーな女性なんですよ。
教員の資格以外にも調理師・栄養管理士を持ってるんですから。
娘に勉強や、お菓子作り、庭の手入れなんかを教えてくれてます。
実は、このステンドグラスも和野さんがきっかけを与えてくれたんです。
感謝してます。
無気力だった娘が夢中になって作品を作り上げるのです。
こうやって、ひとつ、またひとつと作品が増えていくのを私は本当に楽しみにしているのです。」
「そうだったんですか。
僕は美術的な知識は全く無いのですが…
このステンドグラス、とても魅力的な美しい作品だと思います。」
お世辞じゃなく綺麗だと思う。
「ありがとう。
娘が聞いたら喜びます。
ずっと家に閉じこもりがちで、人と接する事に慣れていない子です。
体も丈夫じゃない。
発作を起こして迷惑をかけてしまうかもしれませんが…
是非、今夜の食事に、娘も同席させて頂きたい。
構わないでしょうか?」
「ええ、勿論です。
僕も…実は、あまり人と関わるのが得意ではないです。
同じですから。」
「それは心強い。
君は彼女の良き理解者になってくれそうですね。
娘を連れてきます。」
背後からの声に驚き振り向くと青田が微笑んでいた。
「よくあるじゃないですか。
我が子が描いた絵を、リビングの壁に所狭しと貼り付けてるの。
他人から見たら相当お粗末な作品でも、親バカなんですね…
晴れ晴れしく讃えてしまうのです。
私も御多分に洩れず、その親バカでしてね。
展示コーナーなど設けてしまいました。」
青田はガラスのキャビネットの扉を開けて、中のステンドグラスを取りだした。
そして、光に透けるように頭上で角度を変えて眺めた。
「娘は幼い時に不幸な事故にあってしまいまして…。
母親を目の前で亡くしたのです。
自らも傷を負って…
それが原因で言葉を発する事が出来なくなってしまいました。」
表情が曇る。
しかし蓮と目が合うと、また柔和な顔に戻った。
「学校に行けなくなった娘の為に、家庭教師を頼みまして…あ、それが、今キッチンにいる和野さんですが…
和野さんは何でも出来るスーパーな女性なんですよ。
教員の資格以外にも調理師・栄養管理士を持ってるんですから。
娘に勉強や、お菓子作り、庭の手入れなんかを教えてくれてます。
実は、このステンドグラスも和野さんがきっかけを与えてくれたんです。
感謝してます。
無気力だった娘が夢中になって作品を作り上げるのです。
こうやって、ひとつ、またひとつと作品が増えていくのを私は本当に楽しみにしているのです。」
「そうだったんですか。
僕は美術的な知識は全く無いのですが…
このステンドグラス、とても魅力的な美しい作品だと思います。」
お世辞じゃなく綺麗だと思う。
「ありがとう。
娘が聞いたら喜びます。
ずっと家に閉じこもりがちで、人と接する事に慣れていない子です。
体も丈夫じゃない。
発作を起こして迷惑をかけてしまうかもしれませんが…
是非、今夜の食事に、娘も同席させて頂きたい。
構わないでしょうか?」
「ええ、勿論です。
僕も…実は、あまり人と関わるのが得意ではないです。
同じですから。」
「それは心強い。
君は彼女の良き理解者になってくれそうですね。
娘を連れてきます。」