飛べない黒猫
「でも…強姦されたんだぜ。」
蓮はじっと真央を見つめる。
「強姦って…わかる?」
真央も真っ直ぐに蓮を見つめてうなずく。
「そう…」
先に視線をそらしたのは蓮の方。
「ネットで調べたんだ、事件のこと…
もう、26年も前の話だ。
強姦事件なんて吐いて捨てるほどあるんだから、ヒットは、しないだろうと思ったが’、一応…。」
蓮は珈琲を一口啜り、視線を落とす。
「でも、見つかった。」
溜息をついて、真央をチラリと見る。
光を失った絶望の瞳で。
「大きな事件だったよ。
5人の若い女性がレイプされて…
うち、最後の1人が殺されたんだ、その男に。
そして、男は捕まった。
アメリカ兵、アイルランド系、33歳、赤毛で緑色の目をした男だった。」
蓮が真央に近寄る。
「俺の身体には、非道な殺人鬼の血が流れていたんだ。
人を人とも思わない冷酷な男の…
自分の欲望を処理するのに、他人の命なんて何とも思わない人殺しの遺伝子が、俺に受け継がれているんだ。」
蓮は右手をゆっくり上げて、真央の頬に触れる。
抑揚の無い声も、無表情な顔も、いつもの蓮ではなかった。
冷たい緑の目が、真央を刺す。
「君のママを殺した男と同じ人殺しなんだよ。
俺にその血が流れているんだ。
…恐ろしいだろう?
いつか豹変して、気づいたら君を傷つけているかもしれないんだ。
この手で…」
蓮を見つめる真央の目から、涙がひと粒ながれ落ちた。
蓮はじっと真央を見つめる。
「強姦って…わかる?」
真央も真っ直ぐに蓮を見つめてうなずく。
「そう…」
先に視線をそらしたのは蓮の方。
「ネットで調べたんだ、事件のこと…
もう、26年も前の話だ。
強姦事件なんて吐いて捨てるほどあるんだから、ヒットは、しないだろうと思ったが’、一応…。」
蓮は珈琲を一口啜り、視線を落とす。
「でも、見つかった。」
溜息をついて、真央をチラリと見る。
光を失った絶望の瞳で。
「大きな事件だったよ。
5人の若い女性がレイプされて…
うち、最後の1人が殺されたんだ、その男に。
そして、男は捕まった。
アメリカ兵、アイルランド系、33歳、赤毛で緑色の目をした男だった。」
蓮が真央に近寄る。
「俺の身体には、非道な殺人鬼の血が流れていたんだ。
人を人とも思わない冷酷な男の…
自分の欲望を処理するのに、他人の命なんて何とも思わない人殺しの遺伝子が、俺に受け継がれているんだ。」
蓮は右手をゆっくり上げて、真央の頬に触れる。
抑揚の無い声も、無表情な顔も、いつもの蓮ではなかった。
冷たい緑の目が、真央を刺す。
「君のママを殺した男と同じ人殺しなんだよ。
俺にその血が流れているんだ。
…恐ろしいだろう?
いつか豹変して、気づいたら君を傷つけているかもしれないんだ。
この手で…」
蓮を見つめる真央の目から、涙がひと粒ながれ落ちた。