Mind of ice

リーナ・ベルバラック

ジリジリと近寄るゴブリンから、これまたジリジリと後ずさるセリア。

(捕まったら最後。あんなのに貫かれたら…)

必死に打開策を考える。知能は低いが、それを補う体力とバカチカラが 持ち味のゴブリン。
多分、次の瞬間には己の欲望のままに襲って来るに違い。何とか、この痺れを解きたいのだが、いくら解除の魔法を使っても完全には解除できないでいた。

(さすが、魔族特製ってところかしら…)

若干は緩和できたことにより、剣を構えることは出来た。が、セリアの持ち味も素早さであり、今はそれが殺がれていた。それに、白魔法使いであるセリアが肉弾戦を得意とするわけではないのであった。

とうとう、壁際まで追い詰められたセリアは、一か八かで自分に素早さを上げる呪文を施した後、先程同様にライティングをしてゴブリンに飛び込んだ。

すれ違いざま、足に攻撃をして追えない様にすれば、勝てなくとも逃げることは出来るはずと読んだセリアの唯一の攻撃だった。

しかし、ゴブリンはこの攻撃を読んでいた。セリアがライティングを唱える前に、ゴブリンは対ライティング用アイテムのチャフの粉を使用していた。
これは、光を反射させる粉で振り撒くと、ライティング等の光系魔法の威力を拡散させる事が出来るのであった。

結果として、目くらましが効いていないゴブリンに突っ込むかたちになってしまったセリアであった。
いくら素早さを上げてあっても、2体を裁けるわけ無かった。

(そ、そんなっ!)

セリアの戸惑いも重なり、1体は抜けたが2体目を抜ける際、渾身の一撃を背中に喰らってしまったのであった。

「くはっっ!」

強烈な一撃で、2体目のゴブリンの足元に崩れ倒れてしまったセリアの腹に容赦ないニ撃目が打ち込まれた。

「きゃっ!」

小さな悲鳴をあげ奥の壁まで蹴られ、したたかに壁に打ちつけられ、その場に倒れてしまった。
< 37 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop