聖戦物語 奇跡が紡ぐ序曲~overture~
しかし、すぐに顔を引き締めて、アルジスに問いを投げかける。
「そ、それで三つ目は?」
二つ目の可能性も捨てきれないが、三つ目の原因も知らなければ行動できないことに思い当たり、言葉に詰まりながらもそう言ったサリアに、アルジスは静かな眼差しを向けて、言葉を放った。
「―――自分の内にある属性を、『すべて』把握しきれていない場合」
「……すべて?」
首を傾げたサリアに、アルジスは言い放つ。
「………使い魔は、その持ち主の属性が何であるかによって身に纏う色を変える」
「それは、知ってるわ」
水なら青、炎なら赤、地なら茶色、風なら水色―――…。
持ち主は、自らの属性によって媒介に組み込む輝石の色を変える。それは、この地に宿る精霊たちの結晶―――一般的には鉱物となって出土される宝石のことだが、パワーストーンとも言われるそれを組み込んだ媒介でなければ、使い魔を創り出すことも、魔法を操ることもままならない。
魔法院でまっ先に教えられる常識を思い出し、サリアは自らの使い魔―――窓のあたりで月を仰ぐルーナを見つめた。月光によって白銀にも見えるアルジスの髪に似たその毛並みは、明らかに『光』の属性を示すものだ。
「けれど、光の属性の魔法を使おうと思っても、できた試しがないわ。私が使えるのは法術の簡単なものだけなの」
法術。――― 一般的には、治癒術とも呼ばれるが、リジュエの残した魔術という奇跡の力に並ぶものを求めたかつての王が、研修者たちに命じて生み出させた過去の遺物。
今もそれが何を糧に使用できるのかは不明のままで、法術も魔術も同数程度の人間が操ることになっても、その力の解明はなされていない。
「……だから、魔法は一度も成功したことがないの」
本来なら共に得ていく魔術と法術の知識と技量は、法術ばかりが上がるばかりで、魔術はからきしである。
「そ、それで三つ目は?」
二つ目の可能性も捨てきれないが、三つ目の原因も知らなければ行動できないことに思い当たり、言葉に詰まりながらもそう言ったサリアに、アルジスは静かな眼差しを向けて、言葉を放った。
「―――自分の内にある属性を、『すべて』把握しきれていない場合」
「……すべて?」
首を傾げたサリアに、アルジスは言い放つ。
「………使い魔は、その持ち主の属性が何であるかによって身に纏う色を変える」
「それは、知ってるわ」
水なら青、炎なら赤、地なら茶色、風なら水色―――…。
持ち主は、自らの属性によって媒介に組み込む輝石の色を変える。それは、この地に宿る精霊たちの結晶―――一般的には鉱物となって出土される宝石のことだが、パワーストーンとも言われるそれを組み込んだ媒介でなければ、使い魔を創り出すことも、魔法を操ることもままならない。
魔法院でまっ先に教えられる常識を思い出し、サリアは自らの使い魔―――窓のあたりで月を仰ぐルーナを見つめた。月光によって白銀にも見えるアルジスの髪に似たその毛並みは、明らかに『光』の属性を示すものだ。
「けれど、光の属性の魔法を使おうと思っても、できた試しがないわ。私が使えるのは法術の簡単なものだけなの」
法術。――― 一般的には、治癒術とも呼ばれるが、リジュエの残した魔術という奇跡の力に並ぶものを求めたかつての王が、研修者たちに命じて生み出させた過去の遺物。
今もそれが何を糧に使用できるのかは不明のままで、法術も魔術も同数程度の人間が操ることになっても、その力の解明はなされていない。
「……だから、魔法は一度も成功したことがないの」
本来なら共に得ていく魔術と法術の知識と技量は、法術ばかりが上がるばかりで、魔術はからきしである。