吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
慌てて力を抜くが、ひび割れた組織から砂のような粒子が滝のように流れ、シータの体が崩れてゆく。「あっ、あっ……」と泣きながら両手でかき集めても、指の間からすり抜け、砂の堆積粒子と化してしまう。
落ちた左右の眼球もすでに光りは宿っていなかった。
「どうして、こんなことに……」
イオタは舞台を見る前の自分の行動を思い出す。
無我夢中でシータの首にかぶりつき、血を吸った。シータは抵抗することなく、血を吸わせてくれた。
手負いよりも力をどちらかに集中させたほうが対抗できると思ったのだろうか?最期の全部あげるという言葉の意味もそれだと理解できる。