吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)


血と火薬のニオイが混ざり、イオタの嗅覚から警告が発せられる。


ゆっくり目を開けると、いつもと変わらない舞台がそこにはあったが、すでに赤い幕が上がり、舞台上の板張りの床には何もなく、いつもより照明が暗く、複数の気配を背後に感じた。


「歳を取り過ぎたかな。再生するのに時間がかかるようになってしまった」


イオタが座っている座席から少し離れたところに、穴だらけのフロックコートを着た男が苦悶の表情を浮かべながら真っ直ぐ前を見据えていた。


片膝をつけ、真っ赤に染まった手で胸を押さえている。


そのフロックコートを着た男の視線の先には右腕を横に水平に伸ばしているガンマ少佐がいて、周りにはたくさんの黒衣部隊の隊員が囲み、ちょうどサブマシンガンのマガジンを交換している最中だった。

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