吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
「そうだな」
ガンマ少佐が返事をした直後、劇場がグラッと傾き、左右に大きく揺れはじめる。
壁や床に雷のようなヒビが入り、ボコッと一階の観客席の一部が陥没。
二、三階の桟敷席は倒壊して一階の入口を塞ぎ、過半数の隊員が下敷きになる。
「じ、地震だ」
と言ったあと、鞘を持っていた隊員が階段を転げ落ちていく。
「いや……違うな……普通は天井も落ちる」ガンマ少佐はシャンデリアが皓々と明かりを照らしていることを不可思議に感じ、眼球を忙しなく動かして「そこか!」と日本刀を肩よりも上に掲げ、コンパクトなストロークから肘をスムーズに回転させるバネ仕掛けのような動きで直線上の軌道に日本刀をのせる。