xxxFORTUNE
きっと、洋館に来たばかりのあたしなら怖くてすぐに謝ってた。
でも今は違うんだから。
「愛琉さんとお話したくて来たの」
「だからって、勝手に入んじゃねぇよ。
親しき仲にも礼儀───」
「えっ、あたしのこと親しい仲だって思ってくれてたの?」
「……うぜぇ、黙れ」
あからさまな、ため息。
愛琉さんがイライラしてるのは間違いない。
最後じゃなくて、一番最初に来ればよかった。
そうすれば、寝てるところを起こさなくても済んだだろうし。
最も、あたしが起こしたんじゃなくて、愛琉さんが勝手に起きたのだけれど。
「話って、なんの?」
面倒くさそうに、それでもちゃんと聞く耳を持ってくれているらしい。
「幸せについてよ」
さっそく話を進めようと人差し指を立てると、背後から微かに鈴の音。
振り返ってみると、ほんの少し開いていたドアの隙間から黒猫が顔を覗かせていた。
「おいで」
両手を伸ばして呼ぶと、ドアに体をこすりつけるのをやめて、あたしの前まで歩いてくる。
のそのそと歩いていたのに、愛琉さんの存在に気づくと、はっとしたように身震いする。
「愛琉さんって、動物に嫌われてるの?」