xxxFORTUNE
黒猫を抱きかかえて、愛琉さんの隣に座ると彼はただ首を傾けただけ。
動物に好かれるかどうかなんて、あたしたちにはわからないものね。
「愛琉さんが嫌いなの?」
だから直接、黒猫本人に尋ねてみる。
「はっ、バカじゃねーの」
動物に話しかけるなと、隣からオーラを感じるけど気にしない。
黒猫は鳴いてみせると、あたしの膝の上で丸くなった。
「黒猫さん、あなたのこと嫌いですって」
半ば嫌味っぽく、隣の彼に告げる。
すると、そんな文句を気にしてる様子もなしに何かを考え込んでいるみたい。
「おまえ、黒猫に“黒猫さん”って名前付けたのか」
怪訝な表情で指摘され、あぁ、と思った。
「名前……ずっと決めてなかったわ」
すっかり黒猫さんで定着してしまったし。
でも名前がないなんて、悲しいわよね。
どんな名前がいいかしら……?
「すず、」
「えっ?」
悩んでいると、真横で名前を呼ばれて愛琉さんを見る。
でも、愛琉さんの視界にはあたしじゃなくて………
「おまえの名前は、今日から“すず”だ」
「ちょっと待って、それはあたしの名前よ」