ONLOOKER Ⅲ
いつになく強気に話す直姫の言葉に、真琴は、思わず声を上げて立ち上がりそうになった。
そんな目撃者の話など、少なくとも彼は一言も聞いていない。
なんとか声と動きを抑えて目配せを送るが、聖や恋宵、そして今回の中心人物である紅さえもが、同じように不思議そうな顔をしている。
情報交換は欠かさずこまめにしているはずだし、こんなタイミングで連絡ミスなんてことはないだろう。
彼らが聞いていないのではなく、そんな情報は存在しない、ということだ。
もしかして直姫の発言は、口から出任せなのだろうか。
思わず、一歩下がって傍観している彼に、流し目を送った。
(准乃介先輩)
(ん?)
(ん、じゃないです、どういうことですかあれ)
(俺も聞いてないよ)
(いいんですか? あんなこと言って)
(んー、だいじょぶじゃない?)
(でも、証拠の捏造なんて)
(いーから見てなよ)
准乃介がこんな反応をすることは薄々わかってはいたものの、真琴は困ったように眉を下げた。
あんなことを言って本当に里田が一昨日の放課後別の場所にいたとしたら、大問題である。
ここまで失礼な態度を取られれば、いくら内気そうな彼女でも、泣き寝入りなんてしないだろう。
『悠綺高校の生徒会』が生徒に濡れ衣を着せようとしたなんて、絶対にあってはならないことだ。
真琴は、不安を隠そうともせずに、応接スペースを見つめた。
うろうろと視線を泳がせていた里田が、ぱっと顔を上げる。