ONLOOKER Ⅲ



「……自分だけだったら、バレない自信あったのに」
「そうでしょ。ひじぃはね、良くも悪くも隠し事できにゃいのよ」
「恋宵先輩の…………妹さんの、ことも。聖先輩から聞きました」

すいません、と言おうとしたが、すんでのところで、やめた。
どうして謝るのか聞かれたときに、答えられないことがわかっていたからだ。
恋宵は、「そ。」と言ったきり、口を開こうとはしない。
早く誰か戻ってくればいいのに、と思いつつも、今誰かが間に入ってしまえば、中途半端に開いた距離を戻すことは困難だと感じている。

(……人。好きになったな、最近)

丸くなったというか、甘くなったというか。
直姫にしては非常に珍しいことに、なんと声をかければいいか、迷っていたのだ。
しかしそんな戸惑いを察したのか、先に再び声を発したのは、恋宵だった。


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